記憶喪失の57歳男性、新型コロナで30年ぶりに記憶を取り戻す



世界中を恐怖で満たしながら駆け巡る新型コロナウイルスがもたらした、ちょっと不思議で心温まる小さなエピソードといえるでしょうか。詳細は以下から。

物語は今から30年前にさかのぼります。中国南西部の貴州省に住んでいた27歳の朱家明さんは建設現場での仕事を求め、湖北省へと移り住みました。

ですが朱さんは不運にもその年、仕事上の事故で脳に損傷を負い、長期の記憶喪失におちいりました。さらに悪いことに、出稼ぎ労働者だったZhuさんはこの際に身分証を紛失し、自分が誰なのか全く分からない状態になってしまったのです。


ホームレスにならざるを得なかった朱さんでしたが、ある時親切なTanさんという夫婦がZhuさんに共に暮らすことを提案し、朱さんはこの申し出を受けて共に暮らし始めました。

ですが、どれだけ必死に思い出そうとしても、朱さんは自分の家族や故郷のことも思い出せませんでした。

25年後の2015年、朱さんはTanさん一家の引っ越しに伴い、Tanさんの故郷である浙江省の雲和県に移り住みます。朱さんは故郷から1500㎞も離れたところに住むことになりましたが、この頃から少しずつ昔のことを途切れ途切れに思い出すようになってきました。

そしてやってきた2020年2月。新型コロナウイルスの蔓延を報じる連日のニュースの中で、朱さんは生まれ故郷の街での現地レポートを目にします。この時朱さんは自分がどこから来たのかを突然思い出し、まっすぐ警察に助けを求めました。


朱さんの話を聞いた警察当局は朱さんの家族を見つけ出し、朱さん一家は30年ぶりの再会を果たせることになりました。

朱さんの父親は18年前に亡くなっていましたが、83歳の母親と4人の兄弟は存命で、朱さんが生きていたことを知ってこの上なく喜びました。

母親は「もう二度と会えないと思っていた。生きていてくれて本当に良かった」とテレビ電話で朱さんに語っています。

現在朱さんの故郷の街での居住証は長年の行方不明によって取り消されており、現在再申請中とのこと。申請が済めば晴れて朱さんは家族と再会できることになるとのことです。

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