何もかもを完璧にしたい人ほど、そのストレスとつまづきがうつ病への入口となってしまうことになります。詳細は以下から。
ヨーク・セント・ジョン大学で講師を務めるMartin M. Smith氏がジャーナル「Journal of Research in Personality」に発表した研究によると、完璧主義がストレスや社会的な断絶を作りだすことによって、うつ病にまで至ってしまうとのこと。
Smith氏は完璧主義の破壊性が誤解され、過小評価され、見くびられていると指摘。そして現代社会には完璧主義が広く蔓延っており、より注目する必要があるとします。
研究チームは完璧主義のふたつの側面、他者が自分に完璧さを求めていると考える「完璧主義的な心配」と、自分自身が完璧であろうとする「完璧主義的な努力」がどのように抑うつ症状と関連するかを調査しました。その際Smith氏らは18の縦断的な研究のメタ解析を実施。これらには総計で5568人の被験者が含まれています。
研究チームはこれにより、「完璧主義的な心配」と「完璧主義的な努力」のいずれもが将来的な抑うつ症状を増加させていたことを突き止めました。
また研究者らは完璧主義とうつ病の関連性にストレスと社会的断絶が関わっていることも指摘。「完璧主義的な心配」が大きいほどストレスと社会的断絶が際立っており、「完璧主義的な努力」は大きいほど社会的断絶が際立つものの、ストレスとの関係は見られませんでした。
「完璧主義的な心配」が大きい人々は、その考え方、感じ方、振舞い方によって日々ストレスフルな出来事を経験、場合によっては誘発することで抑うつ症状に陥ってしまうと研究者らは指摘します。
それはこうした人々が、他人が自分のことを認め、受け入れ、愛し、価値がある人間だと認めるのは自分が完璧に行動できた時だけだと思い込んでしまい、人間関係の構築が困難になるためとのこと。
一方で「完璧主義的な努力」が大きい人々は、集団的なゴールよりも個人的なゴールを追い求めやすい傾向にあるため、他社との有益な関係構築のチャンスを逃したり無視したりしやすくなり、これが抑うつ症状をもたらすとしています。
完璧主義は一見高い生産性をもたらす有益なものにもみえますが、健康的でも適応的でも機能的でもなく、重大な精神的な精神的苦痛をもたらすものだとSmith氏は指摘します。現時点で完璧主義を薬品で治療することはできませんが、心理療法などによってケアすることは可能です。
人間は有限で不完全な生き物ですから、完璧になれることはありません。不完全な「完璧さ」で満足するならいいのですが、自分が完璧でないことで思い悩み、追い詰められるのであればまさに本末転倒ということになります。
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