「新型コロナは存在しない」「新型コロナは人工ウイルスだ」、真逆の陰謀論を人は同時に信じられることが判明


新型コロナが炙り出したのは、人類の愚かさだったのかもしれません。詳細は以下から。

世界中で感染拡大の止まらない新型コロナウイルス。新型のウイルスのため科学者の間でも論争があり、国家や地域間での対策の差としてもそれが表れています。

そうした中で、何ら無根拠で現実から目を背けた陰謀論も蔓延っているのが現状です。

新型コロナへの陰謀論を巡り、ジャーナルSocial Psychological and Personality Scienceに掲載された研究によると、人は真逆の陰謀論を同時に信じ込んでしまえることが明らかになりました。

この研究を主導したRoland Imhoff博士とPia Lamberty博士は、新型コロナ陰謀論の信奉者は科学を軽視しており、同時に感染拡大防止に関する公衆衛生も軽視する傾向にあることを問題視します。

研究では3つの調査を実施。最初のふたつは220人と288人のアメリカ人の男女、みっつ目は298人のイギリス人の男女を対象として行われました。

研究ではまず、大きく2つのパターンに分けられる新型コロナ陰謀論に賛同するかを質問され、同時に新型コロナ対策(ソーシャル・ディスタンス確保、手洗いなど)や準備行動(日用品の備蓄、代替薬での健康管理など)を行っているかも訊ねられます。

質問された陰謀論のひとつ目は「新型コロナはデマで存在しない」というもの。これは「専門家らが自分たちの利益のためにインフルエンザほどの脅威ですらないウイルスで騒ぎ立てている」といった論調です。

ふたつ目は「新型コロナは生物兵器の人工ウイルス」というもの。これは「影の勢力(編集部注:イルミナティ、ビル・ゲイツなどが黒幕候補)が人工ウイルスで世界人口を制御し、人類を支配しようとしている」といったタイプの言説。場合によってはここに5G回線の「悪影響」も絡められます。

結果的にこのふたつの陰謀論への賛同には正の相関関係が見られました。つまり、片方の陰謀論に賛同する人はもう片方にも賛同する傾向があるということ。

普通に考えればこのふたつの陰謀論は互いに矛盾しており、同時に賛同するのは論理的に不可能です。それでも人は両方を同時に信じ込んでしまえるという、極めて不思議な結論が示されることになりました。

なお「新型コロナは存在しない」陰謀論に賛同する人はソーシャル・ディスタンスや手洗いなどの新型コロナ対策への協調が低く、「新型コロナは人工ウイルス」陰謀論の賛同者には日用品の買い占めのような自己中心的な準備行動が多く見られました。

興味深いことに、アメリカ人においては「新型コロナは存在しない」論者と買い占め行為の間にも相関関係が発見されています。

研究者らは今回の研究結果から「もしかして陰謀論者は自分が何を信じてるのかよく分かってないんじゃないだろうか」という疑念を呈しています。

確かに思想も信条も個々の自由ではありますが、自分が信じて賛同する意見がどんなものなのか、しっかり確認する必要がありそうです。

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