【気候変動】グリーンランドの氷河が「引返し限界点」超え縮小、温暖化ストップでも復元不可能に


気候変動によって地球がこれまでとは姿を変えてゆくことになりそうです。詳細は以下から。

現在日本を襲っている猛暑も例外ではありませんが、世界中で気候変動とそれに起因する天災が多発しています。そして、これらは決して一過性のものではないことが報告されています。

ジャーナルNature Communications Earth and Environmentに発表された最新の研究によると、グリーンランドに存在する多くの氷床が温暖化によってこれまでにないほど溶けだして縮小し、仮にこの温暖化が今ストップしたとしても縮小し続けるとのことです。

これは現在までの40年近くの衛星からのデータから導き出されたもので、グリーンランドを満たす氷床は毎年降雪によって補充されてきたものの、氷床から海に流れ出す水を補えないレベルになってしまったとのこと。

研究ではグリーンランドの200を超える氷河の毎月の衛星データを調査。どれほどの氷床が氷山として海に流れ出したり溶けだしたかを調べ、同時に氷床に降り注ぐ毎年の降雪量と比較。

研究を主導したオハイオ州立大学、バード極地気候研究センターのMichalea King博士によると、1980年代から90年代には溶けだす氷の量と降雪量は450ギガトンでほぼ釣り合っていたため、氷床の総量は保たれていました。

ですが2000年ごろから氷床が溶け出す量が増加し、500ギガトンが流れ出すようになりますが、降雪量は増えなかったため氷床の縮小が始まります。そしてこの10年でも溶け出す量は減少しておらず、縮小に歯止めがかかっていません。

これにより、グリーンランドの氷河は1985年時点から平均で3kmほど後退しています。それにともなってより多くの氷河が海水と接するようになって溶け出しているとのこと。

このため、なにかの奇跡が起きて今この瞬間に温暖化がストップしたとしても、氷河が溶け出すことを止めることはできないとKing博士らは指摘しています。

当然ながらグリーンランドから溶け出した氷は海に流れ込み、海水面を上昇させます。2019年にはこれによってわずか2か月の間に2.2mmの海水面上昇が観測されています。

また氷床由来の冷たい水が海に流れ込むことで、海水温度が変化して海流に影響を及ぼすこともすでに指摘されており、地球規模でのさらなる気候変動を引き起こす可能性も。

すでにグリーンランドの氷床が元通りにならない「引返し限界点」を超えてしまってるのであれば、今後地球環境には継続的に影響を与え続けることになります。

地球規模の環境の変化には極めて多くの要素が関わってくるため、簡単に今後何が起こるのかを予測することはできません。少なくとも私たちは「これまでと同じような状況が続く」と甘く見ることだけは避けた方がよさそうです。

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