「遺伝子組み換え豚」の人間向け製品が初めて承認、食肉や薬品・移植用臓器を想定


私たち人類と切っても切り離せない歴史を持つ家畜の豚。今後あらゆる意味でさらに重要な役割を担うことになるかもしれません。詳細は以下から。

アメリカ食品医薬品局(FDA)が12月14日、初めて遺伝子を組み替えた豚を人間用の食料品や医療用の素材として用いることを承認しました。

今回承認された豚は、豚の細胞の表面に通常存在するアルファガル糖を遺伝子組み換えによって消滅させたガルセーフ豚(GalSafe pigs)と呼ばれるもの。

アルファガル糖は豚肉の他にも牛肉やラム肉に存在し、人によっては深刻なアレルギー反応を引き起こします。このガルセーフ豚を食用に用いれば、こうしたアレルギーを持つ人も安全に消費できるというもの。

ですがこのガルセーフ豚の承認の最も大きな意味は、血液希釈剤などの医療用の薬品や移植臓器としての開発です。

アルファガル糖は異種移植時に発生する免疫システムの拒絶反応の大きな原因のひとつと考えられており、これを排した移植用の皮膚や臓器を用いれば、より安全な異種移植が実現できる可能性があります。

もともと豚の臓器は、人間と大きさなどが似ていることや豚自体の繁殖や飼育の手法が確立されていることなどから異種移植用の臓器として以前から注目されていましたが、最も大きなハードルがクリアされたということになりそうです。

もちろん今すぐに異種移植が始まるわけではありません。今回承認されたのは1996年にクローン羊ドリーを生み出したPPL Therapeutics社と深い関連を持つRevivicor社の申請を受けたもの。

Revivicor社は最初はメールオーダーのみでの食用豚肉の販売を行うとしていますが、その時期は現時点ではまだ未定とされています。

医療用の薬品や移植用臓器の開発はそれよりもさらに時間が掛かるものとみられます。果たして豚の臓器を安全に移植して生きていける時代が私たちの生きているうちに来るのでしょうか。

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