そこに写されていたのは星々の営みそのものでした。詳細は以下から。
暗いところで長い時間(数秒から数時間)シャッターを開けて撮影する「長時間露光」という写真技法があります。星が線になっている天体写真はこの技法によって撮影されています。
それ以外にも水や火、光をこのような独特な風合いで写し出すこともでき、また夜の風景を昼のような明るさで表現することもできるため、広告や写真作品などで見たことがある人もいるかもしれません。
この技法の世界最長記録は写真家のMichael Weselyさんの4年8ヶ月というものだったのですが、この記録が「うっかり」破られていたことが判明しました。
イギリスのハートフォードシャー大学のベイフォードベリー天文台で、同大学の美術学修士課程に通っていたRegina Valkenborghさんは2012年、ビールの空き缶を用いたピンホールカメラを設置して撮影を開始したものの、そのまま忘れてしまいます。
それを2020年9月、David Campbell技術担当主任が発見。このカメラは当初からずっとこの天文台の望遠鏡のひとつに取り付けられたままだったのです。そこで写されたのがこの写真です。
(クリックして拡大)
Valkenborghさんは「写真が無事に保全されていて本当にラッキーだった。このまえに2度試していたけれど湿気や印画紙の湾曲でダメになっていたから」と述べています。
この写真に写っているのは2953回にもわたる太陽の軌跡です。毎年変わることなく昇っては沈み、地球の公転と共にその高さを日々変えてゆく様子が克明に刻み込まれてます。
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