うつ病が脳に電極設置で劇的に改善、「最高に楽しい気持ちに、5年ぶりに笑えた」と喜びの声も


一見するとサイコホラー映画を思わせる手法ですが、確実な効果を上げたことが報告されています。詳細は以下から。

ガーディアン紙によると、実験的な電極の脳へのインプラント手術により、深刻なうつ病になやまされていた女性の症状を大きく改善させたとの研究がジャーナル「nature medicine」に発表されました。

この装置はうつ病に関連する脳の活動パターンを検知すると、脳の深部で自動的に微弱な電気刺激を発してその信号を妨害します。

この治療を受けた深刻なうつ病患者の36歳のSarahさんは5年ぶりに笑顔を見せ、「生きる価値のある人生」を取り戻せたと話しています。

Sarahさんは取材に「最初に電気刺激を受けた時は最高に楽しい気持ちになり、うつはどこか遠くにある悪夢のように感じられました。私は大声で笑いました。この5年で自然に笑えたことなんてなかったのに」と語りました。

この実験はまだ1例目でしかなく、手術を伴うため誰にでも使えるものではありません。ですが心の病の底に潜んでいる脳の活動を検知し、健康な状態に戻せる実例を示せたのは非常に大きな進歩と言えます。

このような脳深部刺激療法はパーキンソン病などでは試されていましたが、うつ病は脳の複数の部位が関係しているため、思ったような効果が得られていませんでした。

研究では一時的なインプラントで幅広い脳の活動を記録し、同時にSarahさんはタブレットに気分の記録を残しました。

そして機械学習のアルゴリズムが、扁桃体と呼ばれる領域の活動とSarahさんの最も落ち込むポイントとの関連を発見。トライアンドエラーの後に腹側線条体が深く関わっていると突き止めました。上記のSarahさんの感想はここへの電気刺激を行った際のものです。

この後、Sarahさん頭蓋骨内にバッテリー付きの恒久的なインプラントをほどこし、扁桃体の「うつ病の信号」を検知すると腹側線条体を自動的に刺激できるようにしました。

Sarahさんは電気刺激をそのたび感じることはないとしながらも、自分が目覚めてポジティブになったように感じるとしています。

Sarahさんは5年間のうつ病の間、ほとんど動けず意見も持たず、「世界の醜い面ばかり見てきた」としており、有効な治療法にも出会えませんでした。今回のインプラントで、自分のうつ病が「道徳的な欠陥ではなく治療可能な障害」だったと気づけたとのこと。

今後のうつ病の治療にどこまで取り入れられていくことになるでしょうか。

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