ミリ波でも低コストで精度がSub-6以上に、KDDIが「AIを活用した電波伝搬モデル」により実用化の取り組み進める


理論上は超高速通信を可能にするものの、実用は困難を極め世界中の通信事業者が持て余しているミリ波。

そんなミリ波の現実的な活用を目指す取り組みが、本日から開催されている「ワイヤレスジャパン2024」のKDDIで解説されていました。詳細は以下から。

これがワイヤレスジャパン2024のKDDIブースで展示されていた「AIを活用した電波伝搬モデル」の概要。

高速ではあるものの、ちょっとしたものですら遮へい物になってしまうほど扱いづらいミリ波帯を活用すべく、都市に最適化したモデル構築を目指す取り組みです。

学習データが多ければ多いほど精度が増しますが、それに伴い増加するコストを抑えるために、実際の3D都市モデルをもとに仮想空間上に複数のモデルを生み出し、豊富なバリエーションを実現します。

こちらは従来モデルの図。実際にある程度データをとって送受信間の距離などを元に作成するものの、建物や樹木など場所固有の環境情報がモデルに反映されていないため、精度が不十分だったとのことです。

それを解決するのがAIを用いた統計モデル。送信点、受信点の周りの建物など細かいデータの入力を行う事で、精度の改善を図ります。

使われるのは画像認識でよく使われるモデル「ResNet(Residual Neural Networks)」。送信点ないし受信点周辺の情報、そして送受信間の距離マップの3つの画像を重ねて入力し、ディープラーニングが行われます。

実際に28GHz帯を用いた実験結果はこんな感じ。実測値と推定値の誤差がほとんどないほど高精度です。

詳細な解説はこちらから。


続いて解説していただいたのが生成AIを活用した仮想空間3Dモデルを生成する、という内容。

AIを用いて高精度な伝搬モデルを作ろうとすると、どうしてもそれだけで大量の学習モデルが必要になりますが、実地でデータを回収するのも多大なコストがかかります。それを解決するのが仮想空間で作られる3Dモデルです。

用いられるのは拡散モデルの生成AI。元の画像にノイズを加え、それを取り除き復元する過程を学習し、その後完全ランダムのノイズ画像に対して得られたデータを元に復元する行程を行うと、段々と意味のある画像ができてくるそうです。

上記の行程で得られたモデルによって生成された建物マップから個々の建物の輪郭を抽出し、学習データからさらに高さのパラメータを付与することで、低コストで3Dモデルが得られます。

詳細な解説の様子は以下の動画から確認できます。

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