衛星通信との干渉を防ぐための規制が緩和されたことで、基地局1台あたりのカバーエリアが広がったほか、通信速度も引き上げられた携帯各社の5Gネットワーク。
とりわけ業界最多となるSub6基地局をいち早く展開したauが受けた恩恵は大きく、6月には関東地方でエリア2.8倍、通信速度は約3倍に引き上げられたことを発表していましたが、実際のところ最も高速に通信できるのはどのキャリアなのでしょうか。
iPhone 16商戦まであと2ヶ月ほどとなった今、忖度なしの4社比較を行ってみました。詳細は以下から。
◆西口ヨドバシ地下
まずは先日の第一報でもお伝えした、新宿西口ヨドバシカメラの地下入口。
JRや大手私鉄、都営地下鉄と地下街で直接つながる唯一の場所で、上には各社がブースを構える携帯電話フロアもありますが、楽天モバイルは2021年からずっと圏外のままです。
それでは各社の下り通信速度をチェック。測定に使ったのは「iPhone 15 Plus」で左からau、ドコモ、ソフトバンク、楽天モバイルの順番。いずれもメインブランドの使い放題プランを契約しています。
また、あくまで実際の利用感に基づいた評価を下す必要があるため「アンテナピクトこそ5Gと表示されているものの、実際に通信すると4Gだった」というケースでも、その測定結果を採用しています。
結果を見てみると、ドコモに3倍の差を付けてauが圧勝。ソフトバンクも善戦しています。
測定の様子はこんな感じです。
◆西口ヨドバシ前
続いては新宿西口ヨドバシカメラ前。
今回はドコモが善戦していますが……
ソフトバンクが頭一つ抜けた結果に。楽天モバイルは通信速度が1桁台に落ち込んだり、パケ止まりが連続するなど不安定な印象です。
◆飲食店の中
少し疲れたので、ヨドバシそばのマクドナルドで休憩。
アンテナピクトを見る限り、4Gに落ちたソフトバンク以外は好調に見えますが……
1位のauをソフトバンクが追う中、ドコモが楽天モバイルと最下位を争っています。
◆歌舞伎町一番街前
今度は『眠らない街』こと歌舞伎町に到着。外国人観光客で賑わう歓楽街の入口で測定してみると……
断トツのドコモ、2番手のau、明確に不調なソフトバンクという構図に。なお、楽天モバイルは3回ともパケ止まりした挙げ句、1Mbpsに満たない通信速度を叩き出してしまいました。
人口密集地で壊滅的なまでにパフォーマンスが落ちる楽天モバイル。一般的なユースケースを想定して測定スポットを選んでいるため、かなり困惑させられます。
◆歌舞伎町ドンキ横
今度は同じく歌舞伎町のランドマークとなっているドン・キホーテ横。
3回とも300Mbpsオーバーとなったソフトバンクの圧勝です。
またしてもパケ止まり地獄の楽天モバイル。歌舞伎町一番街前より通信速度が改善しているものの、5Gながら3Gにすら劣る通信速度と言わざるを得ません。
◆新宿駅東口
JR新宿駅東口の広場から「スタジオアルタ(2025年末で営業終了予定)」を見ながら測定してみました。
先日お伝えした第一報ではアルタの真下で通信速度を測定しましたが、今回は新宿駅側からのアプローチ。周辺が人でごった返していることに変わりはありません。
比較的安定して高速通信を実現できたauがトップに躍り出たのに対して、ソフトバンクが2回も3G未満の速度に落ち込むなど、かなり苦戦していました。
最も差が出た3回目。ソフトバンクがここまで極端に落ち込むのも珍しいですが、5Mbpsに満たないとはいえ楽天モバイルの通信が安定したことにも驚かされました。
◆JR新宿駅ホーム
そして圧倒的な混雑を見せることから、携帯各社の整備状況が如実に表れる山手線の新宿駅ホーム。
楽天モバイルもバリバリ電波が入っています。
しかし結果は見ての通り。わずかにリードしたソフトバンクが1位となったものの、大手3社が善戦する中で楽天モバイルだけ「毎回パケ止まりを起こして1Mbpsちょい」という次元の異なる結果となってしまいました。
人が多いところでとにかくパケ止まりを起こす楽天モバイル。人口密集地では1台あたりのカバーエリアが狭い基地局をきめ細かく整備することで通信を高速・大容量化する必要がありますが、全く追い付いていないことが分かります。
◆各社のネットワーク整備状況が一目で分かる結果となった新宿
トップを争うauとソフトバンク、ぱっとしないドコモ、問題外の楽天モバイル……と、大きく評価が分かれた新宿における各社の通信速度。
今回の結果を元に各社の特徴をざっくり比べてみると以下のように。携帯電話のつながりやすさや通信速度が問題となるのは主に屋内であることを踏まえると、auに分があるのではないでしょうか。
・au
建物の中や地下に強い、どこでも安定して速度が出る
・ドコモ
安定しているが「抜きん出て速い」と感じることがあまりない
・ソフトバンク
屋外の開けた場所に強い、まれに極端に速度が落ちる
・楽天モバイル
人口密集地でパケ止まりが頻発して使い物にならない、速度も他社と桁が2つ違う
各所のデータは以下。楽天モバイルが全てのロケーションで必ずパケ止まりを起こしています。
・西口ヨドバシ地下
au:176.9、183.7、195.2Mbps
ドコモ:66.6、80.4、69.5Mbps
ソフバン:116.2、101.7、123.1Mbps
楽天:すべて圏外
・西口ヨドバシ前
au:66.7、59.4、65.8Mbps
ドコモ:152.6、142.0、178.7Mbps
ソフバン:280.7、379.4、159.9Mbps
楽天:4.43、4.67、63.3Mbps(パケ止まり2回)
・飲食店の中
au:213.6、201.4、109.7Mbps
ドコモ:9.85、18.3、19.4Mbps
ソフバン:251.7、162.1、62.5Mbps
楽天:11.4、16.7、1.70Mbps(パケ止まり1回)
・歌舞伎町一番街前
au:73.3、1.72、48.4Mbps
ドコモ:62.9、123.6、31.3Mbps
ソフバン:11.6、43.2、5.52Mbps
楽天:0.53、0.64、0.40Mbps(パケ止まり3回)
・歌舞伎町ドンキ横
au:35.5、29.6、69.0Mbps
ドコモ:106.2、43.6、55.6Mbps
ソフバン:321.1、373.3、333.2Mbps
楽天:2.02、1.38、2.13Mbps(パケ止まり3回)
・新宿駅東口
au:40.3、197.2、247.3Mbps
ドコモ:48.4、114.3、37.5Mbps
ソフバン:0.13、24.9、1.82Mbps
楽天:3.74、4.95、0.22Mbps(パケ止まり1回)
・JR新宿駅ホーム
au:275.0、176.6、60.2Mbps
ドコモ:203.5、193.4、145.6Mbps
ソフバン:189.7、212.7、161.5Mbps
楽天:1.03、0.87、1.97Mbps(パケ止まり3回)
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