HTCのシェアが2%まで落ち込み、上場以来初の初の赤字転落となったことを以前BUZZAPでお伝えしましたが、パソコンメーカーの雄・Acerも危機的な状況に陥っていることが明らかになりました。
Taiwan branding stymied by its success at making others' gadgets | Reuters
ロイター通信社の報道によると、2011年にアメリカでシェア20%を獲得していたHTCが2013年7~9月期に上場初の純損失を計上しただけでなく、2010年に世界第2位のノートパソコンメーカーにまで上りつめたAcerも赤字に陥るなど、台湾メーカーが苦戦を強いられているそうです。
これは今まで台湾メーカーが効率性や技術力、コストといった面で、委託元のブランドで製品を設計・生産する「ODM(Original Design Manufacturing)」事業に長けていたものの、自社ブランドでの製品提供にシフトした後、Appleのようにユーザーが愛着を抱くブランドイメージの構築ができなかったことが背景として挙げられています。
また、かつての液晶テレビのように、パソコンやタブレット、スマートフォンといった情報機器も、部品さえそろえばどのメーカーでも最終製品を作れる「コモディティ化」が進んでいますが、その状況を打破できる革新的なブレークスルーも台湾メーカーには不足。
さらに「競合他社の製品をコピーして複数の機能を加えること」「安く作ること」に重きを置き、エンジニアを重視する一方でデザイナーを軽視する社内の風潮や経営陣の知識の浅さ、そして「設計は台湾・製造は低コストな中国」という方式へのシフトが中国メーカーの躍進を招き、前述のコモディティ化と合わせて台湾メーカー自身を窮地に陥れたと分析されています。
なお、苦戦する台湾メーカーとは対照的に、AppleはOSやハードウェア、サービスに加えて店頭での売り方までも徹底的にデザイン。Samsungも自社でプロセッサやディスプレイ、メモリなどの数多くの部品を手がけ、質の高い製品を安定してユーザーに供給することで評判を獲得するなど、ブランディングを成功させています。
低価格ノートパソコン「ネットブック」で一世を風靡し、「ICONIA Tab」シリーズをいち早く展開したものの、タブレットへのシフトが上手く進まなかったAcerや、ブランディングが上手くいかず、スケールメリットがモノを言うようになったスマートフォン市場で「フラッグシップ機の部品を満足に調達できない」という問題に直面し、シェアの低下が進むHTC。
国内メーカーがスマートフォン事業から相次いで撤退している光景を見ていると、台湾メーカーが苦戦を強いられる光景は決して他人事には思われないわけですが、座して死を待つかのようなこの状況は今後も続くのでしょうか。
・21:15追記
宏碁董事長王振堂請辭,執行長工作由總經理翁建仁接任
AcerのCEO、JT Wang氏が赤字の責任を取って辞任を表明しました。Acer本体だけでなくサブブランドのGatewayやPackard Bellでも損失を出したことを受けたもので、2014年1月1日からJim Wong氏がCEOを引き継ぐとのこと。また、世界中で7%の従業員を解雇することが決定しています。
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