ドイツの核融合炉が世界で初めて水素プラズマの発生に成功

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ついに核融合炉が水素プラズマを発生させることに成功しました。詳細は以下から。

ドイツのマックス・プランク研究所は核融合炉を用いて水素プラズマを発生させることに成功しました。使用されたのは実験炉「Wendelstein 7-X (W7X) 」です。炉は現地時間2月3日に自身も物理学者であるアンゲラ・メルケルドイツ首相によってスイッチが入れられました。

この核融合炉では2015年12月にヘリウムプラズマの発生に世界で初めて成功していましたが、今回はより難度が高いとされる水素プラズマを発生させました。

プラズマを作るためには水素原子を425トンの超電導磁石で作成された真空のリングの中で1億度近い高温で熱する必要があります。これによって水素原子は原子核と電子にバラバラのプラズマになり、量子トンネル効果によってプラズマの中で衝突と融合を起こして莫大なエネルギーを発生します。

この実験炉の建設には19年の歳月と10億ユーロ(約1300億円)がつぎ込まれてきましたが、あくまで実験炉であり商用に発電を行うことはないということです。

まさに夢のエネルギーに向けての歴史的なブレイクスルーが起こったわけですが、この技術が実際に発電方法として取り入れられるのかはこれからの話。ウランやプルトニウムを使わず、メルトダウンのような事故は原理上起こることもなく、高レベル放射性廃棄物も大幅に減らせる次世代の発電方法として注目されてきましたが、いつか身近に活躍する日が来るのでしょうか?

FOUND Hydrogen Plasma That Could Be New Energy Source Atlas Obscura

Nuclear Fusion Hit a Massive Milestone in Germany Motherboard

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