かねてから自社製スマホ「arrows」シリーズに無線LAN、LTEの双方に同時接続することで通信を高速・安定化する機能などを盛り込んできた富士通。
しかしもう一歩踏み込み、スマホメーカー関係無しに、キャリアのネットワーク仕様に手を加えること無く、常に快適な通信を維持できる技術を開発しました。詳細は以下から。
ワイヤレスジャパン2016の富士通ブース。「無線ネットワークの仮想化」というタイトルで展示が行われています。
今回開発された技術は「LTEと無線LANを統合した一つの仮想無線ネットワーク(仮想RAN)を構築し、仮想LANコントローラが各端末の接続先をリアルタイムに制御することで、なるべく多くの端末が無線LANに接続しながら、快適に通信できるようにする」というもの。ユーザーとしてはなるべくパケット消費量を抑えつつ通信を高速化できるという、非常に大きなメリットがあります。
ブースには無線LANアクセスポイントとLTE基地局、RAT仮想化アプリなどで構成された展示も。
しかし一体どのようなものなのかは、このムービーを見た方が遙かに分かりやすくなっています。
同じ無線LANアクセスポイントに接続した2台のスマホ(制御あり、なし)を用意し、動画を再生。同じ無線LANに接続した端末が大容量データのダウンロードを開始し、ネットワークに負荷がかかった場合、制御あり端末では即座にLTEに切り替えて動画をシームレスに再生し続けられるのに対し、制御なし端末では動画再生が止まる事態に。快適さの差は歴然です。
なお、一般的にWi-FiからLTE、LTEからWi-Fiへのつなぎ替えが発生すると、IPが変わってしまうため、動画再生などが停止ししてしまう場合がありますが、今回開発された無線ネットワーク仮想化技術では、IPの変化を隠ぺいする技術を導入。
さらに同技術はスマホ(現在はAndroidのみ)に仮想RANにアクセスするためのアプリをインストールするだけで利用できるとのことで、スマホメーカー問わず利用できる上に、キャリアのネットワークに手を加える必要も無いなど、導入のハードルが低いのも特徴です。
利用できるデータ量の少ないライトユーザー向けプラン契約者や、大容量パックを契約してもまだ足りない……というヘビーユーザー、さらにはネットワークの混雑を可能な限り抑えるためにあの手この手を導入している携帯電話事業者などにとって、非常に魅力的な試みに見えますが、はたして実用化されるのでしょうか。
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