ドコモが記者説明会を開催し、自社版iPhone 7の優位性や、新たに開始する下り最大512Mbpsサービスの概要を解説しました。詳細は以下から。
◆説明会の様子
登壇者は株式会社NTTドコモ ネットワーク部長 三木睦丸氏などです。
まずはドコモがこれまで取り組んできたネットワークに関する施策を解説。
800MHz、1.7GHz、2.1GHzのFDD-LTEを組み合わせた下り最大375Mbpsサービスと、1.7GHzのFDD-LTEと3.5GHzのTD-LTE2つを組み合わせた下り最大370Mbpsサービスを5月、6月に相次いでスタートさせたドコモ。
300Mbps超エリアは798都市にまで拡大。2016年9月時点で、東名阪の約360都市で337.5Mbps超のエリアが展開されています。
JR山手線、大阪環状線など、全国各地のスループットも大幅に向上。
iPhone 7はドコモがエリア拡大を進めてきた1.5GHz帯にも対応。下り最大300Mbps超のサービスを提供するエリアの広さで勝負を仕掛ける形になります。
また、iPhone 7では利用できないものの、2017年度に向けた取り組みとして、2017年3月には国内最速の512Mbpsサービスを展開することを予告。
FDD-LTEには256QAM、TD-LTEを組み合わせたサービスには4×4 MIMOを導入することで、下り最大500Mbps、512mbpsへ増速。2GBの4K動画を34秒でダウンロードできるとしています。
これによりドコモはキャリアアグリゲーションの採用、MIMOの拡張、周波数効率の向上など、LTE-Advancedの要素技術として定義されてきたものをくまなくカバーすることになります。
実は高速化だけがメリットでない4×4 MIMO。TD-LTEを展開する3.5GHz帯の電波は。2.5GHz帯を用いるWiMAX 2+やAXGPよりも障害物などに弱くなってしまいますが、基地局から遠くにいる場合、4つのアンテナから1つのデータを集中して送信することで、通信品質を向上できます。
さらに256QAMの導入により、一度に送れる情報量が6→8ビットへと向上。つまり通信速度が約1.33倍になります。
また、高度化C-RAN技術によって、MIMO拡張とQAM拡張による高速化展開も迅速に。
これにより2017年3月時点で、東名阪の約70都市で500Mbps超のエリア展開が可能になります。
◆質疑応答
日経新聞 大西:
このタイミングでネットワーク説明会を開催した理由は?
ドコモ:
iPhone 7が発表されまして、弊社としてもご利用戴きたいと考えている。新しいiPhoneを非常に快適に利用いただける状況にあるので、お客さまに知って戴きたいと思い、開催しました。
ダイヤモンド:
QAM拡張、MIMO拡張は既存の端末で利用できる?
ドコモ:
いずれも新しい端末で利用できます。
フリー石野:
高度化するとスループットが出せないと思うが、工夫はあるのか。20GB以上のプランを発表したが、ネットワークの高度化が支えている部分はある?
ドコモ:
ドコモでは「高度化C-RANアーキテクチャ」を取り入れてネットワークを制御しているが、スモールセルを用いて容量を拡大している。容量が必要なところにスポット的に打っていくという特徴から、エリア内の通信品質がいいという特徴がある。そのため高度化拡張を図っても、高いスループットを得ることができると考えています。
新プランで導入でネットワークのトラフィックが増えると考えているが、複数の周波数帯を組み合わせるPREMIUM 4Gによって、しっかりと対応できると考えています。
フリー石川:
ソフトバンクがMassive MIMOを先走って5Gと表現しているが、ドコモとしてはPREMIUM 4Gと5Gをどこで区別化する?
ドコモ:
PREMIUM 4GはLTE-Advancedを用いたサービス。4Gの間はPREMIUM 4Gとして展開。
産経新聞 大坪:
4×4 MIMOと256QAMは重畳できない?
ドコモ:
4×4 MIMOは3.5GHz帯(TD-LTE)で導入する技術で256QAMはそれ以外の周波数帯(FDD-LTE)で導入する技術。2つを重畳することは論理的には可能だが、検討中。
日経BP 金子:
数年前まで言われていたネットワークの逼迫(いわゆるパケ詰まりなど)は解決したと考えるべき?2020年に向けたロードマップ通りに進捗している?
ドコモ:
最近はネットワークが逼迫する状況には及んでいない。LTE、LTE-Advancedといった新しい技術を入れる取り組みが実を結んできたためと考えています。1Gbpsへの高速化のシナリオについては、もともと描いていた計画通りです。
フリー佐野:
上りは?
ドコモ:
上りの高速化は重要と考えています。ドコモに関しては最大で50Mbpsのサービスを提供しているが、どのように今後対応していくかは検討中です。
日経新聞 竹内:
「2017年3月に一斉に512Mbpsサービス開始」は、一挙に展開?コストは設備投資の今年度予算(5850億円)に含まれてる?
ドコモ:
一挙に展開ということ。今回MIMOとQAMの拡張を行うが、設備投資自体はソフトウェアの更新だけで済むため、投資額のインパクトは少ない。すでに折り込み済み。
ケータイWatch 関口:
新端末で対応という話だが、最初からハンドセット?それともルーターから?MIMOとQAMの両立が困難な背景はバッテリーやチップセットの問題?
ドコモ:
端末については検討中。別の機会に発表する予定。両立については、ドコモとしては具体的な課題を回答できる立場にありません。
?:
iPhone 7が3.5GHz帯(Band 42)に対応していないが、今後働きかけていくのか
ドコモ:
iPhone 7がBand 42に対応していない理由については、Apple社が回答することなのでコメントできない。
日経コミュニケーション堀越:
Massive MIMOで容量向上を図るソフトバンクと、CAと4×4 MIMOで高速化と容量拡大の正攻法のアプローチを進めるドコモ。Massive MIMOのデメリットはあるのか。ドコモとして先行導入する考えはあるのか。
ドコモ:
ソフトバンクさんのアプローチについては申し上げにくい部分がある。ドコモとしては容量拡大に有効な手段をスモールセルと考えていて、1.5、1.7、3.5GHzに対応した小型基地局を開発している。基本的に容量は基地局を打っただけ拡大できるため、「ドコモとしてはこの選択をした」と考えていただきたい。
フリー小山:
5Gのスケジュールだが、従来通り2020年の一部導入予定?高速化によって4K動画が速くDLできるという話だが、帯域へのインパクトについてはどう考えている?
ドコモ:
5Gのスケジュールは当初申し上げている通り。4K動画などの大容量コンテンツをダウンロードすることによるネットワークへのインパクトは、「どの程度の頻度で発生するか」という部分に関わると考えているが、ネットワークの容量拡大を進めているため、新しい料金プランの元で快適に使えると考えています。
?:
渋谷などは新技術を導入してもスループットがさほど上がらない。限界にきているのではないか。
ドコモ:
我々としては限界だと考えていないので、まだまだ容量拡大を進めていきます。
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