アメリカの要望を受け、日本政府が中国企業を排除することになりました。詳細は以下から。
◆日本政府が中国の大手通信機器メーカーを排除へ
読売新聞社の報道によると、政府は各府省庁や自衛隊などが使用する情報通信機器から、HuaweiおよびZTE製品を事実上排除する方針を固めたそうです。
これは「Huawei、ZTEの携帯電話や半導体にウイルスが仕込まれ、不正傍受やサイバー攻撃に利用されている」として、アメリカが政府機関や政府との取引企業で機器やサービスの利用を禁じたことを受けたもの。
アメリカは安全保障上を理由に同盟国にも利用自粛を要請しており、日本政府も国内企業の製品でも2社の部品などを使っていれば排除する方針とされています。
◆国内キャリアの「5G」に確実に影響
なお、HuaweiやZTEは4G以降の通信技術において積極的に技術開発を進めてきたメーカーで、2017年にはHuaweiが中国企業で初めて欧州特許庁への企業別特許出願件数で首位に。
2019年にもスタートする次世代高速通信「5G」においても同社は標準仕様策定で重要な役割を果たしたほか、5Gのコア技術に関する特許を取得しています。
また、国内キャリアと5Gの研究開発を進めており、HuaweiはNTTドコモのパートナー企業の1つ。
ソフトバンクが2016年に世界に先駆けて商用化に成功した5Gの要素技術「Massive MIMO」もHuaweiやZTEが研究開発を進めてきたものです。
5Gの要素技術に密接に食い込んでいる両社を完全排除できるのかという問題が浮上してきた国内キャリア。
また、国が強硬に進める通信料金引き下げで今後携帯各社の収益は圧迫されるわけですが、既存の基地局設備などをリプレースするコストを誰が負担するのでしょうか。
◆そもそも本当にセキュリティ面の問題はあるのか
そしてもう一つの大きな問題が、国内でも普及しつつあるHuaweiスマホのセキュリティ。
Googleは高いセキュリティが求められる企業ユーザー向けに、安全性を保証する「Android Enterprise Recommended」を提供していますが、対象端末に「Mate 10 Pro」などのHuaweiスマホが含まれています。
少なくともこれらの端末はGoogleによって安全性が検証されており、アメリカが主張する不正傍受やサイバー攻撃の根拠となるデータが足りないのが現状です。
4Gや5Gの主要技術はもちろん、iPhone XSを下した世界一美しいカメラスマホこと「Huawei P20 Pro」など、2010年代に情報通信分野で一気に存在感を示した中国メーカー。
もし今日本からこれらのメーカー製品が排除されると、キャリアのハイエンドスマホ、(総務省が普及を強く押し進める)SIMフリースマホ、さらにはモバイルルーターまで、ユーザーへの影響も多岐にわたるとみられます。
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