【コラム】見逃せないHuaweiやZTEの隆盛、崖っぷちに追い詰められる日本の携帯電話メーカーに生存戦略はあるのか

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フィーチャーフォン(従来型の音声端末)からスマートフォンへの移行に伴い、国内市場でもAppleやSamsung、HTCといったグローバルメーカーの台頭が進む一方で、どうしても苦戦している感が否めない日本の携帯電話メーカー。

かつて国内シェア1位を確固たるものにしていたNECはカシオ日立モバイルコミュニケーションズを統合したにもかかわらずシェア7位に落ち込み、Appleが2位へと食い込んでいるわけですが、このままではいずれ日本メーカーはApple・Samsung・HTCに圧倒された揚げ句、HuaweiやZTEといった新興メーカーにとどめを刺さされるのではないか……という話をお届けします。詳細は以下から。



◆ハイエンドスマートフォンで確固たる地位を築くAppleやSamsung、HTC
最新の高精細ディスプレイ、高速駆動を実現する最新CPU、そして最新のOSなどを採用し、携帯電話各社の看板的な存在となっているハイエンドモデル。2012年9月現在、国内メーカー以外ではAppleやSamsung、HTCが存在感を発揮しています。

まずは今月発売されたAppleの「iPhone 5」。ソフトバンクだけでなくKDDIからも発売され、Appleを国内シェア2位(2011年度)にまで浮上させた「iPhone 4S」の後継機にあたる同モデルですが、予約数が過去最高を記録するなど、人気が衰える気配はありません。


NTTドコモの2012年夏モデルの「顔」的存在として発売されたSamsungの「Galaxy S III SC-06D」。世界的ヒットシリーズの国内向けモデルで、スペックを追い求めるだけでなく、ユーザーの使いやすさに気を配った機能も搭載。


ワンセグやおサイフケータイ、赤外線通信などの国内向け機能を備えた「HTC J ISW13HT」はHTCとKDDIの共同開発によるもの。HTCの国内シェアは決して高くありませんが、世界初のAndroidスマートフォンを手がけた高い技術力で日本人ユーザーのニーズを掴んだモデルを投入し続ければ、今後台頭してくる可能性は十分に考えられます。


◆データ端末や周辺機器、エントリーモデルからハイエンドまで幅広くカバーし始めたHuawei、ZTEの隆盛
前述の3社だけでも十分日本メーカーを脅かしかねないわけですが、ここで決して見逃せないのが「Huawei」や「ZTE」といった新興中国メーカーの存在。

国内市場に参入した当初はUSBタイプのデータ通信端末を手がけるのみだったのが、今となっては以下のような国内メーカーが手を出さないようなジャンルを含む、幅広い分野で端末を供給しており、じわじわと存在感を発揮しているのが現状です。

・モバイルルーター
さまざまな無線LAN対応機器を手軽にネット接続できることから大ヒットしたイー・モバイルの「Pocket WiFi」を手がけたHuaweiはNTTドコモやKDDI、ソフトバンクモバイル、UQ WiMAXの各社にモバイルルーターを供給するまでに成長。また、同じ中国メーカーのZTEもソフトバンクモバイルの「ULTRA SPEED」対応ルーターを手がけています。

世界初となる下り最大150Mbps、上り最大50Mbpsの高速通信「UE Category4」に対応したHuaweiの「Pocket WiFi LTE(GL04P)」。LTE対応モデルとして国内最長となる、9時間のバッテリー駆動時間を実現した非常に完成度の高いモデルです。


・携帯電話各社が契約数を稼ぐための周辺機器
純増数(新規契約数から解約数を差し引いた数)を競う携帯電話各社にとって、欠かせないアイテムなのが通信機能付きフォトフレームなどの周辺機器。1台売れるごとに純増数が1カウントされるため、「セットで購入すると携帯電話本体を割引」といった抱き合わせに近い形で販売されているわけですが、これらの機器もHuaweiやZTEが供給しています。

NTTドコモやKDDI、ソフトバンクモバイルで提供されているフォトフレームの大半はHuaweiが供給。


基本使用料24ヶ月無料キャンペーンを展開し、実質配っている形に近いソフトバンクモバイルの「みまもりケータイ」シリーズはZTE製。なお、最新モデル「みまもりケータイ2」は2012年7月の月間売り上げランキング6位に食い込むほどの売れ行きを見せています。


・スマートフォン
「Vision 007HW」「Libero 003Z」などで国内向けスマートフォンにも参入したHuaweiやZTE。今までは安価なエントリーモデルが中心でしたが、イー・モバイルの2012年夏モデル「GS03」、NTTドコモの秋モデル「Ascend HW-01E」のように、ハイエンドスマートフォンにも手を広げ始めているのが最近の傾向となっています。

NTTドコモの秋モデル「Ascend HW-01E」は約4.5インチHD(1280×720)液晶、クアルコム第4世代Snapdragon「MSM8960(デュアルコア、1.5GHz)」を搭載。独自のノイズ除去技術を備えた高速起動・高速シャッター対応の裏面照射型1310万画素カメラを備え、ワンセグ・おサイフケータイ・NOTTVにも対応した正真正銘のハイエンドモデルです。


◆日本メーカーを蝕む海外勢の「スケールメリット」
このように海外メーカーが着実に国内市場でも存在感を発揮しつつあるのに対して、防戦を強いられる一方なのが国内メーカーたち。その流れを裏付けるかのように、並みいる国内メーカーを押しのけ、スマートフォン専業のAppleが2011年度の国内シェア2位(前年6位)に急浮上しています。


そして国内メーカー各社も海外勢に対抗すべく、さまざまなスマートフォンをリリースしていますが、今年の夏、国内メーカーを直撃したのが深刻なまでのプロセッサ不足。

数多くのスマートフォンで採用されているクアルコムのプロセッサ「Snapdragon」が世界的な品薄を記録したことを受け、シャープが携帯電話各社向けに満を持して発売したハイエンドモデルが軒並み品不足に陥り、中でも「AQUOS PHONE ZETA SH-09D」にいたってはNTTドコモの公式ページから発売1ヶ月で削除という憂き目に。


しかし国内メーカーとは対称的に、海外勢のスマートフォンが品不足に陥ることはほとんど無かったわけですが、これはおそらく世界規模で展開している海外メーカー各社は大口顧客であるため、クアルコムが優先的にプロセッサを供給したことによるもの。

プロセッサの供給難を伝える日本経済新聞社の報道でも国内メーカーへの割り当て減は指摘されており、まさに「せっかく新機種を開発したのに、売りたくても売れない」という状況に国内勢は陥ったわけですが、これでは開発費の回収もままなりません。

さらにスマートフォンの生産量が多いメーカーであればあるほど部品調達コストが下がり、他社より安価に製造できるようになる……といった「勝ち組サイクル」とでも呼ぶべきものが構築されることから、生産量の少ない国内メーカーと海外メーカーとの競争力の差は開く一方となるわけです。

・勝ち組サイクル
大量生産で部品調達コストが下がる→販売価格を下げられる→たくさん売れてシェア拡大→さらなる大量生産で部品調達コストがもっと下がる→販売価格をもっと下げられる→さらにたくさん売れてもっとシェア拡大(以下繰り返し)

◆薄型テレビと似た道を辿りつつあるスマートフォン市場
ハイエンドモデルでAppleやSamsung、HTCといった高い技術力を誇るメーカーと渡り合わないといけないだけでなく、一番数が売れるであろう安価なエントリーモデルや、ミドルレンジのスマートフォンでは徐々に力を付け始めているHuaweiやZTEの追い上げが始まっている……という状況に陥っている国内メーカー。

頼みの綱であった「ワンセグ」や「おサイフケータイ」「赤外線通信機能」といった日本人向け機能についても海外メーカーが追従を始めており、さらにはスマートフォン自体の製造コストで引けを取るなど、じわじわと押されていく様子は家電メーカー各社が多額の損失を出すこととなった薄型テレビ市場に似たものを感じざるを得ません。

◆国内メーカーがこの先生きのこるには?
このようにスマートフォンへの移行が進むにつれて、国内メーカーの苦境が浮き彫りとなる中、やはり気になるのは「どうすれば生き残れるのか」という点。

国内で防戦を続けるだけではジリ貧となりかねないため、最終的にはグローバル市場へ乗り出さざるを得ないわけですが、すでにグローバル展開しているメーカーと真正面からぶつかることは部品調達コストなどの面でも圧倒的に分が悪いのが現状。よって最低でも国内メーカー同士で部品を共同調達する方法を模索するなど、少しでもスケールメリットを生かせるようにする必要があると考えられます。

また、LTEや次世代規格「LTE-Advanced」に対応した通信機器向け半導体を設計するために、NTTドコモや富士通、NECが合弁することが8月に発表されましたが、海外勢に対抗していくためにはメーカー各社や携帯電話会社などがスクラムを構築し、国内だけでなく海外でも通用するような基幹部品や製品、サービスを生み出していくことが不可欠ではないでしょうか。

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