B-CASの暗号化を解析することで、有料放送や難視聴対策放送までもタダ見できるとうたったカードが登場するなど、今年に入って危ぶまれ続けている感のあるB-CASのセキュリティ問題。
そしてBSデジタル放送や110度CSデジタル放送で有料放送を手がけている事業者にとっては、契約者情報管理に利用しているB-CASカードのセキュリティが突破されることは、文字通り死活問題へとつながるわけですが、「スカパー!e2」の純増数が激減したことが明らかになりました。
スカパー!加入件数の推移|有料多チャンネル事業|事業・サービス|スカパーJSAT株式会社
有料放送サービス「スカパー!」でおなじみのスカパーJSAT社が公表している、加入件数の推移によると、CSデジタル放送で展開している「スカパー!e2」の2012年5月の純増数が前年同月比マイナス11737件の1万6091件(約42%減)にとどまり、非常に好調だった3月や4月と比較して、大きく落ち込んだ形となっています。
・2012年
3月:6万813(前年同月比約82%増)
4月:4万7728(前年同月比約35%増)
5月:1万6091(前年同月比約42%減)
2009年から2011年までの春~初夏にかけての加入者情報推移。春のプロ野球およびJリーグ開幕を受けて3月と4月に純増のピークが訪れ、あとはなだらかに純増数が落ち込んでいく……という構図が見られるのは毎年同じですが、純増数が1万台まで落ち込むのは毎年7月ごろです。
・2009年
3月:3万1976
4月:4万1903
5月:2万6152
6月:2万3460
7月:1万874
・2010年
3月:4万5640
4月:3万2528
5月:2万3276
6月:2万9998
7月:1万7345
・2011年
3月:3万3498
4月:3万5278
5月:2万7828
6月:1万9807
7月:3万253
つまり過去のデータを鑑みても2012年5月分の落ち込みは従来と比べものにならないわけですが、気になるのはその理由。
5月は誰もがB-CASカードのセキュリティを突破できる事態となったことを大手新聞社が報じて一気に日本中に広まったほか、さらにはカードすら不要になるとされる謎のプログラム「SoftCAS」が公開されるなど、B-CASが大きく揺らいだ月となったことを考えると、今回の純増数減少と無関係であるとは考えづらいのが現状です。
なお、B-CAS関連の報道を受けてスカパーJSAT社は5月21日付けで以下のような見解を発表。不正視聴行為に対して「損害賠償請求を含めた法的措置を検討している」としています。
1. 現在、インターネット上の掲示板型サイト等において、有料放送の不正視聴につながる、B-CASカードの改ざん方法及び改ざん行為の報告が継続的に投稿されていることは認識している。
2. 当該一連の行為は、有料多チャンネル放送全体の健全な普及拡大に大きな悪影響を与えかねず、看過できない。
3. 本件については、カードの所有権者である株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ(B-CAS社)より報告を受けており、同社にも厳正な対応を要請している。
4. 当社の有料放送サービス「スカパー!e2」の不正視聴行為については、損害賠償請求を含めた法的措置を検討している。
5. 技術的対応については、B-CAS社に検討を依頼している。
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