日産のキャンプ女子コラボ企画が「絶対NGな焚き火」方法をPRしてしまう


一度でもキャンプで焚き火をしたことのある人ならば、間違いなくヨシ!とは言えないことに気付くはずなのですが…。詳細は以下から。

日産自動車がスポンサーとなった日本最大級のクルマ総合情報サイト「carview!」でのPR企画、新型キックスとキャンプ女子のマイキャンさんと、初めての“冬キャン”にチャレンジしてみた」(魚拓でとんでもない焚き火を披露してしまいました。

この記事は日産のコンパクトSUV「キックス」を宣伝するための記事広告。キャンプ女子のYouTuberマイキャンさんとコラボし、今はやりの冬キャンをテーマとして動画を交えながら紹介しています。

このPR企画自体は「キックス」の魅力をマイキャンさんに指導してもらう初の冬キャンという流れでうまく紹介していて微笑ましいものなのですが、唯一にして致命的な問題は終盤の冬キャンの場面。

キャンプ女子のはずのマイキャンさんら3人はなんと一面ふかふかの落ち葉の上で焚き火台を使って焚き火をして団らんしているのです。しかも焚き火シートを使っている様子すらありません。

子どもでも分かるはずですが、落ち葉というのは乾燥していて非常に燃えやすいもの。焚き火をするのであれば落ち葉を火の粉が飛ばない距離まで掃くか、最初から落ち葉のない場所を選んで行わなければなりません。

これではちょっとでも風が出れば、自分たちのキャンプグッズへの引火のみならず、山火事を引き起こす危険もあります。風がなかったとしても、火の粉が周囲の落ち葉に飛んでくすぶり、のちに出火する可能性もあるため、冬キャンでの焚き火は細心の注意を払わなければならない行為。

キャンプをしたことのない人に説明するなら、これはくわえ煙草でガソリンスタンドで給油をするようなものだと言えば想像できるでしょうか。写真や動画の絵面を優先するにしてもダメ・ゼッタイな案件です。動画の当該部分は以下から。


キャンプは楽しいもので、寒い時期に星を眺めながらもよいものですが、大自然の中にお邪魔している以上、火災を含めて責任ある態度が求められます。それにしてもマイキャンさんはなぜこれでヨシ!と思ったのでしょうか…。

【16:50追記】
上記記事内の動画がすべて削除されました。加えてマイキャンさんがツイッターアカウントでお詫びを述べています。ただし「安全に配慮して撮影しておりますが、一部配慮が至らないシーンがございました」とのことで、具体的にどのシーン化についての言及はなく、どのように配慮が至っていなかったのか、実際にどのような安全配慮がなされたかについての言及はありません。

実際にはこれは、山火事の危険にも直結する「落ち葉の上での焚き火」シーンを巨大自動車メーカーとのコラボ企画で堂々と流し、文字通り視聴者にこうした焚き火の方法が「安全であると誤解」させるという深刻なケースで、重大なミスリードと言わざるを得ません。


なお、林野庁は山火事の原因のほとんどが不注意などによる人為的なもので、判明している原因の最大のものが焚き火で3割を占めていることを公表しています。

発生した林野火災のうち原因が明らかなものについてみれば、「たき火」が29.9%で最も多く、次いで「火入れ」、「放火(疑い含む)」、「たばこ」となっています。

我が国の林野火災は、そのほとんどが人間の不注意などによるものとなっています。一方、落雷など自然現象によるものは稀です。

林野庁_山火事の直接的な原因にはどのようなものがあるの?:林野庁より引用)
キャンプ女子を名乗ってYouTuberとして活動するのであれば、少なくともこの程度の認識は持った上で活動しなければ、間違った危険な情報を垂れ流す結果に繋がりかねません。

・関連記事
テントにもタープにもハンモックにも変身、ひとつで6役をこなせる多機能アウトドアギア「ベルーガ」が日本上陸 | Buzzap!

テントとハンモックが合体、フルフラットで空中キャンプできる「Haven Tent」が登場 | Buzzap!

1930年代のキャンプ、今とはどこがどう違っていたのか? | Buzzap!

キャンプがもっと楽しくなる「暗闇で光るテントロープ」発売、アウトドア好きの新定番に | Buzzap!

アウトドアファン待望の「煙の出ないBBQグリル」が開発される | Buzzap!