ワイルドに贈るぜ!児童施設への寄付運動になぜかタイバニの方の「タイガー」が参戦


昨年末から、マンガ「タイガーマスク」の伊達直人と称して児童施設に寄付をする運動が起こっています。震災後は下火になったものの近頃「タイガーマスク」の活躍は再燃している様子。そんな折、「タイガー」繋がりということなのか、TIGER & BUNNYの「ワイルドタイガー」を名乗る人物からの贈り物があったそうです。



どうもクリスマスを迎えたあたりから「タイガーマスク運動」は再燃していたようで、中にはとれたての寒ブリとさばくための手間賃1万円を置いていった自称「寒ブリを愛する男」まで登場。「タイガーマスク」の名を借りるかどうかは人それぞれですが、いわゆる“あしながおじさん”的な寄付が活発化していて、被災地の児童施設を中心にさまざまな事例が見られます。

そんな中新たに発覚したのが、2011年4月~9月まで放映されていたアニメ「TIGER & BUNNY」(以下、タイバニ)の主人公「鏑木・T・虎徹」を名乗る寄付。クリスマスイブの午前5時50分頃、神奈川県の厚木児童相談所の正門で、職員がノートや色鉛筆など36点が入った袋を発見。袋には「ワイルドタイガー・鏑木・T・虎徹」と書かれた手紙が入っていたとのことです。

他の事例は「タイガーマスク」からの贈り物だったので、本来なら記事の見出しは「広がるタイガーマスクの善意」となりそうなところ。しかし上記の一件により実際の見出しは「広がる“タイガー”の善意」となっています。

中高年向けのニュースという色合いが強かった「タイガーマスク運動」の報道に突如乱入する「TIGER & BUNNY」「鏑木・T・虎徹」の文字列はなかなかの破壊力。

広がるタイガーの善意 : 神奈川 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

「タイガーマスク」ならびにその正体である伊達直人を名乗る匿名の寄付が一発屋とならずに増えていったのは、漫画「タイガーマスク」のストーリーのおかげ。伊達直人は「タイガーマスク」として戦って得たファイトマネーを、自身を育ててくれた孤児院「ちびっこハウス」を救うために全額寄付。そのために裏切り者として刺客に狙われることに……という切ない物語の魅力があったからこそ、世の“あしながおじさん”はその善意を形にすることができたのだと思われます。

タイガーマスク。
TOEI ANIMATION公式サイトより

一方、「ワイルドタイガー」こと「鏑木・T・虎徹」は別に孤児院出身ということでもなく、作中に母親や妻、娘なども登場するいわゆる中年のおじさん(ただし相当なイケメンでヒーロー)。タイガーマスクとの共通点は覆面をつけた状態で戦うことと、他人のために全力で戦う姿勢と言えるかもしれません。

素顔の鏑木・T・虎徹(左側)。ファンからは「おじさん」と呼ばれることが多く、イケメンの割にガサツな性格と、肝心なところだけはしっかり決める格好良さで人気を集めています。孤児院と直接関係はありませんが、寄付をしても不思議ではない程度には善人です。
TIGER & BUNNY公式サイトより

寄付をした人物は相当なタイバニファンで、連日の「タイガーマスク運動」の報道を見て「タイガーなら伊達じゃなくて鏑木だろ!」と思い立って思わず実行に移した……かどうかは定かではありませんが、少なくともタイバニの視聴者であることは間違いないと考えられます。

ヒーロースーツを着た状態のワイルドタイガー。
TIGER & BUNNY公式サイトより

単なるアニメファンの一時の気の迷いだとしても、実名を公表して寄付をする文化が根付いていない日本において、名乗るべきキャラクターが増えることはよい兆し。「タイバニ」の視聴者は「タイガーマスク」をアニメで見ていた世代よりは若いことが十分に考えられるので、若い人にも寄付の流れが広がっていくような希望すら見えてきます。

一タイバニファンとして細かいことを指摘すると、設定の上で虎徹はヒーローであることを隠しているため、手紙にヒーロー名と本名を並べて書くのは微妙に“それっぽくない”行動。そんな不器用さに、「タイガーマスク運動」に名を連ねる名もなき“あしながおじさん”達と同じDNAを感じます。

真正面から善行をするのがイマイチ流行らない日本。「誰かのために何かしたい」心意気を発揮するための“覆面”が増えるのは喜ばしいことですね。

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