超高速で衝突し合う、美しくもあまりに壮大な銀河たち「ステファンの五重奏団」の死と再生



息を呑むほど美しい、身を寄せ合い踊っているような銀河の輝き。でも、それは恐ろしいほどの高速で衝突し、星々や星間ガスを引き裂き合う壮絶な光景でした。昔から宇宙ヤバイと言いますが、やはり人間の想像を遥かに超えています。

Get your own space! Amazing shot of five galaxies packed together in one corner of universe Mail Online

銀河がごちゃごちゃと重なって見える時、普通は実際には近接しておらず、それぞれの銀河の間には何百万光年もの距離が開いているものです。ですが、ペガサス座の中にあるこれら5つの銀河は中心が青く見える1つを除いて非常に近い位置関係にあります。NASAはこの銀河の塊を1877年にフランスのマルセイユでこれらを発見したエドアルド・ステファンにちなんで「ステファンの五重奏団」と名づけました。

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これらのうちのNGC7319、NGC7318A、NGC7318B、NGC7317の4つが地球から3億光年付近の互いに影響を与え合う距離にあり、猛烈にぶつかり合っています。

青いNGC7320だけは4千万光年の距離。これだと四重奏になってしまうところでしたが、ハッブルのサイトのより広域の図解(下図)を見てみると、左側に少し離れたところに位置するNGC7320Cが実は同じ3億光年程度の距離にあり、4つの銀河とは過去に1、2度衝突して通り抜けたものであろうとのことで、五重奏で間違いはないようです。



こうした高速衝突は銀河同士では珍しいことではなく、2つ以上の銀河が激しくぶつかると星や星間ガスを引き剥がして周囲の宇宙空間にまき散らしていきます。「ステファンの五重奏団」の大衝突はNGC7318Bが時速百万km以上で集団の中心にぶつかっていくことによって生じる衝撃波によって引き起こされていると言われています。

ハッブル宇宙望遠鏡によると、この衝突は何百万もの星々からなる100以上の星団を生み出してもいます。圧倒的な破壊力を持った衝突と、それによって生み出される新しい星々、驚くべき生と死の光景と言えます。そうして生まれたそれぞれの星団はできてから2百万年から10億年と古さもさまざま。それは「ステファンの五重奏団」の衝突が非常に長い歴史を持って繰り返されてきたことを示しています。

まだ地球に単細胞生物しかいなかったであろう時代から、光の速さで3億年かかるほどの遠方で引き起こされている巨大な銀河同士の長い長い衝突。もちろん今地球から見えているのは3億年前の姿。いったい今現在、これらの銀河はどうなっているのでしょうか?あまりにもスケールが違いすぎて想像もつきません。

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