有料チャンネル見放題の「BLACKCASカード」を総務省が調査、ユーザーは業務妨害罪などで立件も



BSデジタル放送や110°CSデジタル放送などの有料チャンネルも見放題とされる、「B-CASカード」の海賊版「BLACKCAS」と呼ばれるカードについて、総務省が調査に乗り出したことが明らかになりました。

詳細は以下の通り。



◆そもそも「BLACKCAS」とは?

【BLACKCAS】暗号解読版B-CASカードは、絶対のお買い得商品!カード一枚で衛星放送が半永久的に視聴できますので、持って損なし!


「BLACKCAS」とは、上記サイトで販売されている「暗号解読版B-CASカード」のことで、2012年3月2日現在の販売価格は1枚4万9800円。

デジタル放送対応機器にBLACKCASを挿入すると、BSデジタル放送および110°CSデジタル放送の有料放送に加えて、地デジ難視聴地域に対してBSデジタル放送を通じて配信されている首都圏のテレビ放送、合計89チャンネルが視聴可能になるため、すべてのチャンネルを視聴するのにかかる月額約3万6661円が無料になるとされています。

これがBLACKCAS


裏面には偽造防止のレーザーラベルが貼られています。


なんとも不思議なカードではありますが、有料放送を無料で視聴できるようになる理由について、公式サイトでは以下のように解説。さらにユーザーに対してはアフターサービスとしてアップデート対応なども提供するとのこと。

【BLACKCAS】暗号解読版B-CASカードは基本的に「自己完結」タイプでございます。一旦カードのICチップに使用許諾が書き込みされると、外部からのコマンドを受け、使用許諾を勝手に変更することはできません。放送事業者がカードのナンバーを知らなければ、カードを無効化して視聴許諾を取り消すことはできません。従って、ご利用の機器の種類を問わず、放送事業者には【BLACKCAS】暗号解読版B-CASカードを無効化する権利も根拠もありません。言い換えますと、【BLACKCAS】暗号解読版B-CASカードは、誰が、どの機器に使用されても、放送事業者に把握されることは不可能です。これこそが【BLACKCAS】暗号解読版B-CASカードが半永久的に番組を視聴できる理由でございます。


BLACKCASは公式サイトを通じて販売されていますが、2月28日20:00発売分の1000枚はわずか5分で完売するほどの人気ぶりを見せており、明日3月3日20:00からを予定している販売分についても、過酷な争奪戦が繰り広げられると考えられます。

◆総務省が調査に、ユーザーは業務妨害罪などに問われる可能性も

朝日新聞デジタル:海賊版カードで有料TV見放題 暗号解読か、総務省調査


あらゆる放送を無料で視聴できるようになるため、従来の有料放送ビジネスを根幹から覆すことになりかねないBLACKCASですが、朝日新聞社の報道によると、「このようなカードは過去に例がなく、悪質性が高い。情報を収集した上で対処を考えたい」として、総務省が調査に乗り出したことが明かされています。

デジタル放送に対応するすべてのテレビには不正防止用の暗号化技術が施されていますが、報道ではBLACKCASの制作者はこの暗号を解読し、未契約の有料番組を契約済みに書き換えた可能性があると指摘。暗号が解読された場合、B-CASカードの交換など、システム全体が刷新を迫られるおそれもあるとのこと。

なお、正規のB-CASカードの発行枚数は2011年3月末時点で約1億5千万枚ですが、(PDFファイル)2011年は地デジ完全移行に向けた買い換えを受け、2000万台以上の薄型テレビが販売されたことを考えると、B-CASカードの交換には途方もないコストがかかることになります。

また、知的財産権に詳しい福井健策弁護士は「技術的に不明な点はあるが、本来必要な契約を回避する手段を提供しており、販売者は不正競争防止法違反に当たる疑いが強い。利用者も業務妨害罪等に問われる可能性はある」と述べ、販売者だけでなくユーザーも罪に問われる可能性を示唆しています。

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