核実験とツーリスト、あり得たかもしれない現在を描いた写真作品「Atomic Overlook」
広島に原子爆弾が落とされてから67年が経ちました。あの日から今に至る歴史の中で、人類と核はどのように歩んできたのかを象徴する写真作品です。
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1945年8月、広島と長崎に原子爆弾が投下され、数多くの死傷者を出しましたが、核の歴史はむしろそこから始まったと言っても過言ではありませんでした。ウィキペディアの記載によると、1945年のトリニティ実験以降、8カ国によって計2379回もの核実験が行われています。
先日当サイトではその内のひとつ、1957年にネバダ砂漠で行われた核実験の爆心直下に立つ兵士たちの映像を紹介しましたが、半分物見遊山のような彼らの表情はどこまで原子爆弾の恐ろしさを理解しているのか疑問に感じるものでした。
写真家のClay Lipsky氏が「Atomic Overlook」で描いているのは核実験の映像と現代のツーリスト(実際は1963年の部分的核実験禁止条約によって地下核実験以外は禁止)。彼らもネバダ砂漠の兵士たちと同じように目の前で起こる核実験のキノコ雲を「安全な距離」から興味深そうに見つめ、時にはデジカメやスマホで撮影しています。おそらく目の前のスペクタクルをFacebookで友人たちと共有するのでしょう。
広島と長崎のことを子供の頃から習いながら育ってきた日本人からはどうにもモヤモヤしてしまう写真ですが、福島を経た現在、ここで表現されている光景はさらに重い意味を持って迫ってきます。
同シリーズの他の写真はCLAY LIPSKY氏のサイトから閲覧できます。
核実験の映像を使った作品といえば、スタンリー・キューブリック監督の「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」のラストシーン。キューブリックならではの底知れないブラックな内容になっています。
さて、実際に核を軽んじ、甘く見ているのはいったい誰なのでしょうか?
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