iモードやmova、FOMAからXiまで、NTTドコモの歴史を振り返ってみた



6000万を超えるユーザーを抱え、名実ともに国内最大手の携帯電話会社「NTTドコモ」の歴史を、同社が今まで手がけてきたサービスや端末とともに振り返ってみました。

50Xシリーズで全盛を極めたmovaと「N」シリーズ、ぼってりした形状の初期型FOMA端末、今なお人気の「premini」など、思わず懐かしさがこみ上げてくる内容となっています。詳細は以下の通り。

◆NTTドコモが発売した携帯電話600機種以上が一挙展示
2012年10月30日(火)~11月5日(月)まで開催されている「東京デザイナーズウィーク」


NTTドコモの20周年を記念して、同社が発売した携帯電話の一挙展示が行われています。


ブースは50メートルという驚きの長さに。


1987年にNTTドコモの前身となったNTTの移動体通信部門が発売した日本初の携帯電話「TZ-802型」をはじめ、611機種が展示されています。


こちらは1989年に発売された携帯電話弐号機「TZ-803型」


これは1997年発売のPHS端末「ドラえホン」


「らくらくホン」シリーズの初号機となった1999年発売のパナソニック製端末「P601es」。今では富士通が同シリーズを手がけていますが、「らくらくホン」の商標自体はパナソニックが保持しています。


こちらは富士通による「らくらくホン II」こと「F671i」。


◆「iモード」スタート、movaの「50X」シリーズが人気を博す
1999年には携帯電話でブラウジングやメールの送受信が可能となる、当時としては先進的だった「iモード」がサービス開始。


第2世代携帯電話「mova」対応の「50X」シリーズが人気を博しました。


1999年12月から第2世代となる502iシリーズが発売開始。これは今となっては懐かしいフリップ式のカラー液晶搭載端末「D502i」で、初のカラー液晶モデルとなった「F502i」に続く形で、2000年に発売されました。


明るく見やすいカラー液晶を備え、大音量の着信音などを楽しめたことで爆発的なヒットを記録した「N502i」。


音楽プレーヤーと携帯電話が1つになり、さらにはメモリースティックにも対応するという、時代を先取りしまくったソニーの「SO502iWM」。ちなみに型番の「WM」は「ウォークマン」ではなく「With Music」を意味しており、後に三菱電機からも同様のコンセプトのモデルが発売されました。


2001年に発売された「503i」シリーズの1台「SO503i」。au向けに供給されていたソニー端末同様、センタージョグと独自の日本語入力補助システム「POBox」によって、メールを爆速で打てるというのが大きな特徴です。


◆ついに第三世代携帯電話「FOMA」登場、ただし……
2001年10月、初の第3世代携帯電話「FOMA」初号機「N2001」が発売開始。連続通話時間約90分、連続待ち受け時間は静止時約50時間という、今となっては考えられないスペックである上に、小型化が難しく、mova端末と比較して非常に重厚なボディにならざるを得ませんでした。


2002年に発売されたストレートタイプのFOMA端末「D2101V」。他のFOMA端末と比較しても巨大で重く、お世辞にも使いやすそうな端末とは言いづらいモデルとなっているところに、メーカーの苦労が垣間見えます。


PDAタイプの本体とBluetoothハンドセットが一体化されたシャープのFOMA端末「SH2101V」。当時発売されたFOMAの中でも非常に異彩を放っていました。



また、同年には「写メール」で一世を風靡したJ-PHONEや、カメラ付き端末「A3012CA」で追従したauに対抗する形で、カメラを搭載した「iショット」対応のmova端末「SH251i」が発売。ちなみにiショットは画像をメール添付で直接相手に送信するのではなく、専用サーバーにアップロードした写真にアクセスするためのURLを相手に送付するというものでした。


◆徐々にこなれ始めるFOMA、movaは成熟期に
サービス開始当時こそは筐体が大きく重く、バッテリー持続時間も短い「FOMA」でしたが、2003年に発売された「P2102V」などでは小型化・長時間駆動に成功するなど、徐々にこなれ始める形に。


非常に尖ったコンセプトの腕時計型PHS端末「WRISTOMO」が発売されたのも同年です。



そして「らくらくホン」も折りたたみとなり、「505」シリーズが登場するなど、movaが成熟期を迎え始め、2003年はターニングポイントに差し掛かった感のある1年となりました。



◆新生FOMA「90X」シリーズ登場、movaと主役交代へ
2004年にはFOMAの筐体の大きさやバッテリー駆動時間の短さが大きく改善され、movaの「50X」シリーズに代わる主力となる「90X」シリーズとなって登場。FOMA向けパケット定額プラン「パケ・ホーダイ」もスタートし、今までの従量課金プランでは「パケ死」しかねなかった「着うた」のダウンロードも可能に。




対するmovaは従来通りの高機能モデルを出しつつも、今までとは若干趣向の異なるモデルも投入。


今でも再商品化の要望が少なからずある超小型mova端末「premini」シリーズが登場したのも同年。スマートフォンユーザーの2台目需要向けフィーチャーフォンと割り切って復活させるのも良さそうなモデルです。


「SO502iWM」の後継機にあたる「Music PORTER D253iWM」


◆NOKIAやMotorolaもiモード端末をリリース
90Xシリーズ登場後、国内メーカー製のFOMA端末が数多くリリースされる中で、興味深いのが海外メーカー製のiモード対応端末。残念ながら採算は取れず、流れが続くことはありませんでしたが、世界的メーカーが参入しています。

2006年発売のNOKIA端末「NM502i」。ちなみに当時のNOKIAは世界シェアトップの文字通り「王者」でした。


同年に発売された「Motorola RAZR M702iS」もiモードに対応しています。


◆スマートフォン時代を待たずして押し寄せたメーカー淘汰の波
昨今スマートフォンへのシフトを受けて、メーカー再編の波が押し寄せていることが取りざたされていますが、すでにフィーチャーフォンの時代からメーカーの淘汰は始まっており、2008年には三菱電機が「D705i」をもって携帯電話事業から撤退しています。


ソニーも同年発売の「SO706i」をもってNTTドコモ向けフィーチャーフォン事業から撤退。なお、同モデルはUIがNEC端末に酷似していることが指摘されており、開発および生産を委託した可能性も考えられます。


また、同年にはHTCのWindows Mobile 6.1スマートフォン「Touch Pro」こと「HT-01A」が発売されました。


◆Android、襲来
movaが第一線から退き、FOMAすらも円熟しつつある中、ついに2009年に国内初となるAndroidスマートフォン「HT-03A」が登場。後にiPhone対抗馬として存在感を発揮することになるAndroidにNTTドコモがいち早く先鞭を付けた形となりましたが、売り上げは思わしくなかったようで、その後同社からHTC製スマートフォンが発売されることはありませんでした。


高画素数カメラ、フルワイドVGA液晶搭載……と、ハイスペックモデルのFOMA端末が横並びとなる中で、次にNTTドコモが目を付けたのがコラボレーション。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」とコラボしたエヴァケータイこと「SH-06A NERV」や「Q-potケータイ」など、作り込んだモデルが続々登場。



そして2010年にはソニーのAndroidスマートフォン「Xperia SO-01B」が春モデル、Samsungの「Galaxy S SC-02B」が夏モデルとして登場。少しずつ「iPhone対抗モデル」が勢いづき始めます。



この時点でも新機種の主流はフィーチャーフォンでしたが、中にはノートパソコンのような形状であるにもかかわらずiモードに対応した「N-08A」など、奇抜なモデルも登場することに。


しかし秋モデルから状況は変わり始め、東芝やシャープといった国内メーカーがワンセグや赤外線、おサイフケータイといった日本人向け機能を搭載したAndroidスマートフォンを投入。徐々に流れが変わり始めます。また、同年12月からは国内初の次世代高速通信「LTE」を採用した通信サービス「Xi(クロッシィ)」もスタート。


◆フィーチャーフォンが一挙に縮小、スマートフォンに急速シフト
日本初の携帯電話「TZ-802型」が発売されてから20年以上、iモード時代だけでも10年以上常にメインストリームであり続けたフィーチャーフォンですが、スマートフォンへのシフトが決定的となったのが2011年のこと。

OSアップデートの問題や技術的な問題を抱えつつも、メーカー各社が続々と国内向け機能を兼ね備えたスマートフォンをリリースしたことに加え、先行していたXperiaやGalaxyシリーズにより高機能な後継機が登場したことで、急速にシフトが進むことに。

2011年後半以降に発売された機種。スマートフォンが大半を占めています。


沈胴式レンズを備えたデジカメケータイや衝撃などに強いタフネスケータイ、一台一台木目が違うモデルなど、今まで以上に個性的なフィーチャーフォンもリリースされたものの、スマートフォンへのシフトの流れを食い止めることはできませんでした。




2012年発売のモデルにいたっては、スマートフォンとフィーチャーフォンの発売比率が完全に逆転。スマートフォンメインの流れは確定的なものとなり、ジョジョスマフォ、エヴァスマフォ、ワンピーススマフォ……といったように、コラボモデルすらもスマートフォンがメインに。また、同年3月には「mova」が停波し、1つの時代の終焉を迎えています。




NTTドコモが25年間で発売した611機種を一覧できるムービー - YouTube


AppleやGoogleの台頭、携帯電話メーカーの再編などを受け、初代携帯電話の発売から25年の今、携帯電話会社を取り巻く環境は大きく変わりつつあるわけですが、もし10年後に同様のイベントが行われた場合、どのようなものが展示されるのかに思いを馳せてみると、なかなか面白いかもしれません。


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