モバイル通信を5倍、ファイル転送を30倍高速化する新しいデータ転送方式を富士通が開発


3GやLTE、WiMAX、Wi-Fiといった無線通信を軒並み2倍に高速化させる技術をNECが開発したことを先日BUZZAPでお伝えしましたが、今度は富士通がモバイル通信を5倍高速化できる技術を開発しました。



ファイル転送や仮想デスクトップなどの通信性能をソフトウェアだけで改善する新データ転送方式を開発 : 富士通

富士通研究所のプレスリリースによると、同社はファイル転送や仮想デスクトップなどのさまざな通信アプリケーションの性能をソフトウェアだけで大幅に改善する新しいデータ転送方式を開発したそうです。

これは従来、通信アプリケーションで標準的に用いられている通信プロトコル「TCP」では、無線接続時や回線が混雑しているなど、品質の悪い通信環境での利用において、データ損失(パケットロス)が発生し、データ再送による遅延により転送性能が大幅に低下するという課題があったことを受けたもの。

富士通研究所はストリーム配信に適した通信プロトコルの「UDP」をベースに独自開発した効率的な再送方式を組込み、以下の3つの技術を開発することで、ハードウェアに変更を加えることなく、ソフトウェアのみで実現することに成功したとしています。

・パケットロス時のデータ再送の遅延を低減する新プロトコル
・帯域を占有してしまうUDP通信に対して、ネットワークの空き帯域をリアルタイムに計測し、従来のTCP通信を圧迫することなく最適な通信帯域を確保する制御技術
・既存のTCPアプリケーションを変更することなく本プロトコルを適用するだけで簡単にTCPアプリケーションの高速化を実現する技術


この技術によって、従来は高価な専用ハードウェアを必要だったTCPアプリケーションの高速化を、ソフトウェアをインストールするだけで簡単に実現できるほか、モバイル端末などへ簡単に実装することも可能になるため、今後普及が見込まれる国際回線や無線回線を使った様々な通信アプリケーションを快適に利用することが期待できるとされています。

新プロトコルとTCPとの比較。実効速度(スループット)を30倍高速化できているほか、遅延時間も6分の1に短縮できています。

モバイル通信ではWEBブラウジングを5倍以上高速化できています。

なお、今回開発された技術はデータ転送方式に関する部分であるため、電子機器の基板に発生するノイズを抑え、電波の入りを改善することで通信速度を向上させることができるNECの新技術との共存も可能。両者をうまく組み合わせればネットワーク自体を大幅に強化することなく高速化を図ることができるようになるため、今後の普及に期待したいところです。

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