現地時間の9月10日に発表される予定の新型iPhone「iPhone 5S」。従来よりも処理速度やカメラの画質などが向上するとみられる中、取りざたされるのが「プラチナバンドのLTEに対応するかどうか」という部分。
使い勝手にダイレクトにつながる非常に大きな要素ですが、本日KDDIが開催したモバイルネットワークに関する説明会は、iPhone 5SはプラチナバンドLTE対応の可能性が高いのではないか……と思わせる内容となっていました。
◆「高速でつながりやすいLTE」をアピールしたKDDI
本日行われたネットワークに関する説明会で提示された、新戦略「あたらしい au 4G LTE」。「どこでもつながる力」「超高速でつながる力」「こだわりのつながる力」を3つの柱にしています。
800MHz、1.5GHz、2.1GHzの3つの周波数帯(マルチバンド)でLTEを展開するKDDI。つながりやすい「プラチナバンド」と呼ばれる800MHz帯をベースに整備し、人口の多い地域などでは2.1GHzの基地局をきめ細かく敷設。さらに1.5GHz帯をエリアの限定的な補完に用い、混雑状況に応じてシームレスに切り替えることで快適に通信できるようになります。
そして2014年3月末までに800MHz帯を拡充し、実人口カバー率99%を実現予定。全国エリアがいち早く「完成」されます。
注目すべきは同社が公開した8月3日時点でのLTE基地局免許許可数。800MHz帯が3.1万局となっただけでなく、2.1GHz帯の基地局も2.4万に。トータルで6.1万局という、他社を圧倒する規模です。
昨年9月にソフトバンクモバイルが発表していた2.1GHz帯の基地局免許許可数。実に2.4倍の差を付けられていましたが、5000差まで追いついただけでなく、プラチナバンドの基地局で圧倒的にリードする事態に。
プラチナバンドLTEの効果を分かりやすく解説した図。電波が浸透しやすいため、ビルの奥やエレベーターの中でも快適に通信できるわけです。
◆KDDIの説明会は「iPhone 5S」がプラチナバンドLTEに対応する布石?
前述の内容から、KDDIのLTEはサービス開始から1年半となる2014年3月末までに全国カバーをほぼ完成させられることになりますが、やはり気になるのが「iPhone 5S」がプラチナバンドのLTEに対応するかどうかという部分。
6月に行った会見でKDDIは8月末までに各種対策を進めることを表明していたため、今回の説明会は報告と今後の戦略表明を兼ねて……という形であるのは分かりますが、新型iPhone発表直前にiPhone 5が対応していなかった800MHz帯のLTEをアピールすること自体に、何らかの意図を感じざるを得ません。
また、各社のLTE基地局免許許可数比較が公表されていますが、仮に「iPhone 5S」のLTEがiPhone 5と同じ対応周波数(1.7GHz、2.1GHzのみ)であった場合、KDDIは3.8万のLTE基地局を敷設するソフトバンク(イー・モバイル含む)に2.4万の基地局で挑まざるを得なくなり、主力商品のiPhoneで自ら不利であることを強調する形になります。
現時点でそのようなことを自ら公表するメリットがKDDIに無い以上、iPhone 5SはプラチナバンドLTE対応と考えてしまうわけですが、田中社長はiPhone 5Sがプラチナバンドに対応するかどうかについてはコメントを避けたものの、対応した場合、iPhone 5ユーザーが乗り換えやすい施策を提供することを示唆しています。
現時点ではあくまで「可能性が高いのではないか」という話でしかないiPhone 5SのプラチナバンドLTE対応。もし実現した場合、KDDIは競合他社の先をゆくLTEのカバーエリア、つながりやすさ、高速さを武器にiPhoneを売れる、まさに「鬼に金棒」状態となるため、続報が待たれます。
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