NTTのセット割解禁に異議を唱えたKDDIとソフトバンク、自社網整備で立ち位置の違いが明白に

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圧倒的なシェアを持つNTTの光ファイバーとNTTドコモの「セット割」解禁に対し、4月2日に緊急記者会見を開き、明確に反対を表明したKDDIやソフトバンク。

電電公社時代からの圧倒的な資本力で整備を進めたNTTに到底太刀打ちできないのは分かりますが、一方で「自前で回線を整備せず、NTTに圧力をかける姿勢はどうなのか」という意見も一部で見られました。

そんな中、KDDIが総務省で本日行われた「情報通信審議会 2020-ICT基盤政策特別部会 基本政策委員会」の関係事業者ヒアリングにおいて、非常に面白い資料を提示しています。

◆2020年代に要求されるものは?
本日付けで発表されたKDDIのプレゼンテーション資料。タイトルは「2020年代に向けた情報通信政策の在り方について」です。


2020年代はあらゆるものがインターネットに接続する世界になり、超高速の通信網とICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)が要求されます。


もちろんコンテンツも今まで以上にリッチ化、大容量・即応性が要求されるものとなり、東京オリンピックの成功に向けて、世界最高水準のICT基盤整備が求められます。





◆日本の通信サービスは世界最高水準、通信量は増大の一途
日本の現状。光ファイバーの契約割合1位、単位速度あたりの料金も最安、モバイルも世界に先駆けて3G比率100%はもちろんのこと、LTE契約数も世界2位と、世界最高水準を実現できています。


このように超高速・低廉・強靱な通信網の整備が進んでおり、遅れが目立つICT分野は官民一体での支援が望まれています。



モバイル通信のロードマップ。2010年代には下り最大1Gbps以上を実現する「真の4G」ことLTE-Advancedが導入され、2020年代には第5世代携帯電話(5G)が展開されます。


しかし4G・5G時代には建物内で届きづらい電波(3.4~3.6GHz帯)の利用に加え、急増する通信量を処理するため、無線LANのように基地局を細かく敷き詰める「小セル化」が必要。これらの基地局を整備するためには、より多くの光ファイバーが求められます


すでにスマートフォンのデータ通信量は各社が提供する公衆無線LANサービスや、家庭内Wi-Fiで「オフロード(通信量を分散すること)」した分を含めれば、わずか1年間で3.8GBから6.2GBまで伸長。モバイル回線への負担も42%増加しています。


そのため、4G・5G時代には現在ネットワーク関連コストの30%を占める基地局回線コストがさらに高まることに。携帯各社が恐れているのはこの部分で、仮にシェア獲得のために血で血を洗うような値引き合戦を行っても、最終的には光ファイバー使用料が入るNTTが勝つ構図があるわけです。


また、災害に備える強靱な通信網を構築するには、NTTだけでなく、NTT以外の光回線を用いた「冗長化」が不可欠です。


◆NTTに依存せず、自前での整備を進めるKDDI
なお、KDDIは自社の取り組みとして、建物の中でもつながりやすい800MHz帯のLTEネットワークを実人口カバー率99%にまで引き上げるなど、最速で整備。


さらに基地局回線のうち、実に60%をNTT以外の回線で整備するなど、可能な範囲でネットワークの強靱化に向けた対応を実施。東京電力の光ファイバー事業や全国のCATV事業の統合をはじめ、KDDIは自社での通信網整備も進めています。


その結果、NTTグループよりも先に1Gbpsサービスを提供開始。今後について以下のように方針を表明しています。



◆NTTによる独占は何を生むのか
前述のようにNTTの光ファイバーへの依存度を引き下げているKDDIですが、NTTのセット割解禁について、将来の通信網整備を設備競争で進めていくのか、それともNTTグループに依存するのかという岐路に立たされていると明言。


光ファイバー市場でKDDIグループが12%、電力系が9%、その他7%という数字にとどまる中、72%という圧倒的なシェアを誇るNTT。固定・モバイルで圧倒的なシェアを誇るのは先進国でも同社だけです。




しかし独占はイノベーションを遅らせ、非効率的な競争を生むものであり、1社が完全にインフラを握ってしまうことで、冗長化も図れません。


そのため、KDDIは今後も設備競争を重要視した上での競争を主張しています。


◆NTTの光ファイバー依存「以外」の選択肢を提示したKDDI
また、議題となっているNTTのセット割については、解禁によって44%まで下がったドコモのシェアが光ファイバーのシェアに牽引される形で70%にまで近づくと指摘。これでは競争が成り立たないため、禁止行為規制による競争環境を確保すべきと主張。



さらに「NTT東西の光のみに依存していいのか?」とした上で、競争事業者が固定ネットワークへの設備投資を続けられるような政策を求めています。



◆あくまでNTTの光ファイバーにこだわるソフトバンク
そして本日行われたヒヤリングではソフトバンクの孫社長もプレゼンテーションを実施。光ファイバー普及・整備率の低さ、純増数の減少などを指摘しています。





光ファイバーの普及が進まない要因も、ADSLと異なりNTTが8回線単位で接続料を設定しているからであると主張し、ADSLに用いられていたメタル回線と同等の競争環境・接続料水準を求めています。



KDDIが提示したような「NTT以外の選択肢」などについて触れず、あくまでNTTの光ファイバーを安く使えるようにすることに固持する形となったソフトバンク。

NTTの光ファイバーを分離して国や通信各社が共同で運営する「光の道」構想を主張していたことを考えればやむを得ない話だと思われますが、自前でのネットワーク整備を進めた上で、冗長化の必要性を訴えている分、KDDIの主張に説得力がある気がしなくもありません。

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