競争を促進して通信料金を引き下げるため、携帯電話会社の2年縛りが見直されることが明らかになりました。
◆通信料金引き下げのためにSIMロック、2年縛りの見直しを始めた総務省
携帯顧客囲い込み規制 SIMロック解除促進へ総務省検討 :日本経済新聞
日本経済新聞社の報道によると、総務省が20日付けで有識者による作業部会を発足させ、利用者が携帯電話会社を乗り換えしやすくする施策の検討を開始したそうです。
具体的には携帯各社が端末を自社のネットワークでしか利用できないようにしている「SIMロック」を、乗り換えの障害と見なした上で、一定期間利用した後に解除することを義務付ける案などが検討中。
さらに新規契約から2年以内に解約すると違約金が発生する「2年縛り」を見直すことも目指しており、2015年にも適用される新たな規制によって新規参入や競争を促進し、高止まりする通信料金の引き下げを図るとしています。
◆安価な通信料金の代わりに、端末代はさらに高額に?
なお、日本の携帯電話会社は本来7~9万円近くするスマートフォン本体を24回などの分割払いで販売し、パケット定額プラン加入者には毎月の利用料金から「月月割」「毎月割」「月々サポート」などの名目で割引を行うことで、端末本体の実質価格を抑えるビジネスモデルが主流。
現行のビジネスモデルは総務省の指導によって携帯各社が2007年に導入したもので、高額な通信料金を原資にした「インセンティブ」で端末の販売価格を割り引くという旧来の方式が、同じ端末を長期間利用するユーザーほど損をするものだったことを受けたものでした。
しかし導入後、端末の買い替えサイクルが大きく伸び、さらに端末本体の価格が高額化したこともあって、2008年10月には携帯電話出荷台数が前年同月比5割以下にまで落ち込む事態に。その結果、三菱電機・三洋電機・日立・東芝などの国内メーカーが2010年までに携帯電話事業から撤退しています。
そしてもしSIMロックや2年縛りが見直された場合、携帯電話会社は端末代金と通信料金の分離をさらに進め、「今まで以上に端末代金が高額になる代わりに、月額料金を下げる」という方針にシフトせざるを得なくなると思われますが、その場合携帯電話販売数がより一層落ち込み、今度こそ国内携帯電話メーカーにトドメが刺される可能性もあるわけです。
また、日本人はハイエンド志向が強い上、比較的安価に購入できるグローバルモデルに対して興味を持たず、割高でも使い慣れたワンセグ・赤外線・おサイフケータイ(防水・防塵も)を備えた高性能機種を求める傾向にあるのが特徴。つまり多くの人々がイニシャルコストの増大に悩まされることになると思われます。
国内向け機能をおサイフケータイのみにとどめ、グローバルモデルに近い形で発売されたものの奮わなかった「Motorola RAZR M 201M」。同モデルにとどまらず、グローバル仕様のものを日本国内にそのまま持ち込んでもあまり売れない(ただしiPhoneは除く)のが日本市場です。
このように、必ずしもメリットばかりとは限らないと予想される総務省の各種見直し。ただし携帯各社が導入している2年縛りの自動更新については、基本料2年間無料で提供されるフォトフレームや子ども向けケータイ、GPS端末の罠のようなケースもあるため、積極的な見直しを期待したいところです。
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