金属の独特の質感に惹かれたベラルーシ人の家電修理人が「あくまで趣味」としてとんでもなく魅力的なスチームパンクの世界を作り上げてしまいました。
ベラルーシで家電の修理人を営むDmitry Tihonenkoさんはスチームパンクをこよなく愛し、なんでもない普通の家電をスチームパンク風の珠玉の逸品へと生まれ変わらせるアーティスト。
Tihonenkoさんは腕利きのメカニックを父に持ち、自らも家電を始めとした家庭用機器の修理を生業とする職人。Tihonenkoさんがスチームパンク的な金属の風合いに惹かれたのはベラルーシ海軍でバレンツ海の北方艦隊にいた時。艦船は常時メンテナンスを必要とする銅を使った部位が数多くあり、次第にその金属の持つ魅力に目覚めていったといいます。
3年間務め上げた海軍を除隊した後にTihonenkoさんは家電修理の店を開き、同時に非鉄のアンティーク製品のコレクションを始めました。そしてそうしたコレクションを用いてオリジナルのスチームパンク風の作品を作るようになっていきました。
「他の人がバーやスイミングプールで休むように、俺は休みの時はスタジオに篭ってたんだ」
Tihonenkoさんが初めて手がけたスチームパンク家電は祖母の壊れかけた冷蔵庫。それがうまく行った時、次には電子レンジをスチームパンク風に改造しました。ボタンなどの付け替えも行うのですが、ただ美しいだけではなく、機能的でメンテナンスしやすいように考えた上で作っているということ。まさに職人技です。
次に改造したのが薄型テレビ。他の家電との色合いの違いがどうにも許せなかったTihonenkoさんはオリジナルの額を作り上げ、木管楽器から着想を得た実際に機能するボタンも設置。同時にDVDプレイヤーとスピーカーもスチームパンクに作り変えました。
こちらはエスプレッソマシン。元あったものから大きく機能を増やされています。
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ですがTihonenkoさんの最もたまらない作品はなんといってもこの携帯電話。大昔に妻のOlgaさんからプレゼントされたNokia 6670をスチームパンク風に改造しようとTihonenkoさんは知恵を絞ります。金属が電波を遮断してしまうことから、アンテナ周辺の工夫は大変だったようです。それでもなんとか問題をクリアし、世界に一台だけの銅製のボタンの付いた携帯電話を完成させてしまいました。
そして、驚くべきことに、Tihonenkoさんは2011年になるまで自分が作り上げている世界観がスチームパンクと呼ばれていることを知りませんでした。この年に、彼の作品を見たモスクワ在住のスチームパンクマニアからメールでスチームパンクフェスティバルに来ないかと招待を受けましたがTihonenkoさんんは「おいおい、なんか間違ってるぞ。俺はパンクスじゃない!」と返事をしたといいいます。
なお、Tihonenkoさんはスチームパンクのプロダクトを100以上作成していますが、基本的にはどれも売り物ではなく、値段をつけることを拒んでいます。もったいないような気もしますが、あくまで趣味として作っているからこそのこだわりとクオリティと言えるのかもしれません。
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