2011年にメルトダウンした福島第一原発付近のモミの木に生育異常が見られていることが明らかにされました。詳細は以下から。
この調査は環境省が東京電力福島第一原子力発電所付近の放射線量の高い地域で、2011年からおよそ80種類の野生の動植物に対して行われているもの。
このうち針葉樹のモミの木で、幹の先端の「主幹」と呼ばれる芽が欠けるなどの異常が通常よりも高い割合で現れていることが分かりました。主幹がないと生育が止まってしまいます。
最も放射線量の高かった大熊町の調査地の線量は33.9μSv/hで、97.6%のモミの木にこの主幹がありませんでした。19.6μSv/hと6.8μSv/hの浪江町の調査地ではそれぞれ43.5%と27%に異常が見られ、比較対象として調べた茨城県北茨城市の0.13μSv/hのち点では5.8%に留まっています。
現時点ではモミの木以外には異常は見つかっていないとのこと。なお、針葉樹は放射線の影響を受けやすく、チェルノブイリ事故の際もヨーロッパアカマツなどに異常が見られたと報告されています。
今回分析を行った放射線医学総合研究所は、現時点では福島第一原発事故で放出された放射性物質との明確な因果関係は分からないとしながらも、影響している可能性があるとしています。この分析結果はイギリスの科学雑誌サイエンティフィックレポートのウェブサイトに掲載され、以下リンク(英語)から閲覧可能。
Morphological defects in native Japanese fir trees around the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Scientific Reports
現在のところ針葉樹のモミの木以外からの異常は見つかっていないとのことですが、今後も引き続き調査と分析は必要となりそうです。
モミの木:福島で生育異常が増加…線量高い場所ほど多発 - 毎日新聞
福島第一原発周辺のモミに異常 NHKニュース
信濃毎日新聞社 (2015-09-12)
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