Photo by Tony Hammond
ノーベル生理学・医学賞と共に数々の偉大過ぎるエピソードが紹介された大村智博士、愛犬家にとっても大切な恩人でした。
10月5日にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智北里大学特別栄誉教授。受賞とともにそのあまりにも巨大な功績が報じられました。
◆大村博士の偉業とエピソード
大村博士は「寄生虫感染症に対する新規治療物質に関する発見」によって今回の受賞となりました。博士らが静岡県伊東市のゴルフ場の土から発見した菌が作り出す化学物質「エバーメクチン」が寄生虫の駆除に効果があることを発見。そこから改良を行い、効き目を強めた「イベルメクチン」という薬の開発が大きな功績とされます。
この「イベルメクチン」を大村博士の許可のもとで、共同研究を行っていた製薬会社メルクがWHO(世界保健機関)を通じて無償提供。発展途上国で猛威を振るっていたオンコセルカ症(河川盲目症)とリンパ系フィラリア症(象皮症)という寄生虫症に絶大な効果を発揮し、現在も年間3億人が服用しています。
大村博士らの研究とイベルメクチンのおかげで前者は2020年、後者は2025年までには撲滅の見込みであるとされています。
他にも自ら開発した薬剤の特許料で北里研究所の附属病院を建設したり、韮崎大村美術館を私費で建設して1800点を超える収蔵品とともに韮崎市に寄付するなど、偉大なエピソードには事欠きません。
また、ノーベル賞受賞会見中に安倍首相からかかってきた電話を後回しにしようとしたり「Time is Money」と言って会見を続行するなど、飄々として媚びたところが一切ないところも人柄であると人気となっています。
◆犬たちを救うフィラリアの駆除薬
そんな大村博士ですが、愛犬家たちにとって彼の業績は決して小さなものではありません。博士らの開発した「イベルメクチン」は元々は動物用の寄生虫の駆除薬として販売されました。
犬糸状虫は犬の右心房と肺動脈に寄生するフィラリアの一種で、「イベルメクチン」が有効です。日本でフィラリアというとこの寄生虫がイメージされることが多いでしょう。日本の犬も1970年代まではフィラリアに苦しめられて来ており、平均寿命は1980年でわずか2.6歳でした。
ツイッター上で永江一石さんが大村博士のエバーメクチン発見以降現在までの犬の平均寿命の変化をつぶやいたところ、5000件以上のリツイートが集まっています。
ノーベル賞受賞した大村先生が、なんとフィラリアの薬の発明もしていたという・・・おかげで長生きできてます。
1980年には犬の平均寿命は3歳行ってなかったのです。愛犬家は感謝だ pic.twitter.com/mSlHX1qRAG
— Isseki Nagae (@Isseki3) 2015, 10月 6
大村先生のおかげでここ35年で犬の平均寿命2.6歳→15.1歳って伸びしろが凄すぎる
— Isseki Nagae (@Isseki3) 2015, 10月 6
1983年に「イベルメクチン」が発売されて以降、犬の寿命は徐々に伸び始め、2009年には15.1歳にまで達します。永江さんは自らのBlogでの補足記事で、イベルメクチンの発売以外にも室内飼いの増加や栄養状態の改善などの複合的な要素があるとしていますが、死因から寄生虫感染が無くなったことなどから、極めて大きな役割を果たしたことは間違い無さそうです。
あなたの犬が元気に長生きできているとしたら、その一部は大村博士の功績のためかもしれません。そして、動物用イベルメクチンの販売が成功したことで人間用を無償提供できたことを考えると、あなたの犬が元気でいることが世界の誰かの健康を守ることに繋がっているということもできそうです。
才能を社会や他人のために使い、善意が連鎖して幸せな人が増えるなら、こんなに素晴らしいことはありませんね。
NHK NEWS WEB 大村さんノーベル医学・生理学賞
東京新聞 <大村さんノーベル賞>土に着目で大発見 寄生虫駆除で熱帯の生活改善 社会(TOKYO Web)
(Photo by Tony Hammond)
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