肥満を副作用なしで解消できるホルモン注射が開発される



辛い副作用に悩まずに、体重を落とせてしまう注射が開発されました。詳細は以下から。

現代人を悩ませる肥満。肥満が生活習慣病の原因となることは既に誰でも知るとおりですが、その重量が膝や腰などにも大きな負担を掛け、運動すら困難にしてしまいます。

これまでは肥満は軽度であれば食事療法や運動といった通常のダイエットで対処し、重くなれば胃バイパス手術などが行われてきました。ですが胃バイパス手術は嘔吐や腹痛、慢性的な吐き気、病的な低血糖などの副作用が生じます。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者らはホルモン注射と調合薬による副作用のない減量方法を開発しDiabetes Careに発表しました。

ホルモン注射では平均で4.4kgの体重減少と血糖値の低下が見られましたが、副作用は発生していないとのことで、身体への負担の少ない被侵略性の肥満対策として大きな効果が見込まれています。

研究では69人の肥満及び肥満予備軍の患者が被験者として選ばれました。そのうち15人がグルカゴン様ペプチド1、オキシントモジュリン、ペプチドYYのホルモンミックス注射を受け、11人がプラシーボとして生理食塩水インフュージョンを注射、21人が既存の胃バイパス手術、22人がカロリー制限ダイエットを実施。

ホルモン注射のグループは4週間にわたり、12時間掛けて(点滴のような形で)皮下注射を行いました。これは朝食前に始まり、夕食後に終了します。また全ての患者の血糖値はモニタリングされ、肥満対策の有資格者から健康上のアドバイスを受けることができます。

4週間の実験後、ホルモン注射を受けたグループでは平均4.4kgの体重減少が見られ、血糖値も劇的に改善し、正常値近くまで戻った人も。一方、プラシーボを注射したグループは平均2.5kgの体重減少に留まりました。

なお、胃バイパス手術を受けた患者らは平均10.3kg、カロリー制限ダイエットのグループは平均8.3kg体重減少していましたが、ホルモン注射の利点は手術の後遺症やリバウンドといった副作用が発生しないこと。

また胃バイパス手術でも血糖値は低下しますが、その降下にはばらつきがあり、過度な低血糖値にまで落ち込むケースがあります。一方でホルモン注射では安定して血圧を確実に下げられる事が大きな利点としてあげられます。

手術不要で副作用もなく、つらい食事制限やキツい運動も行わず、安全にゆっくり体重減少を目指せるとなれば、今後大きな支持を得ることができそうです。現在は小規模な実験段階のため、今後はより大規模かつ長期的な実験へと移行していくとのこと。

今のところはまだ12時間点滴という高めのハードルがありますが、今後日常生活を送りながらこの注射を受けることができるようになれば、より多くの肥満に悩む人の救世主になる可能性もあります。

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