639年掛けて現在演奏中の世界で最も遅い音楽、ジョン・ケージの「Organ2/ASLSP」


世界で一番遅い音楽とはどんな楽曲なのでしょうか。なんと6世紀以上を掛けて現在演奏中です。詳細は以下から。

世界で一番速い音楽は何か。クラシックで言えば熊蜂の飛行が有名ですが、ダンスミュージックやノイズ・エクスペリメンタルな楽曲ではBPMだけはとにかく速いというような楽曲も存在しています。


出は逆に世界で一番遅い音楽とは?ブライアン・イーノのようなドローン・アンビエント楽曲がそれに当たるかもしれませんが、可能な限り遅く演奏せよ(As Slow as Possible)という指示のある音楽が存在しています。

それが一般には「4分33秒がある種ネタ的に知られる現代音楽家、ジョン・ケージが1985年に作曲したOrgan2/ASLSPという楽曲です。これはもともとピアノのための楽曲でしたが2年後にオルガンように編曲されました。


多くの演奏家がこの楽曲を可能な限り遅く演奏しようと試み、例えば2009年5月にはDiane Lucheseが14時間56分かけて演奏しています。

そしてこの楽曲の最も遅い演奏が始まったのは2001年9月5日のこと。音楽家と哲学者のグループがこの楽曲の「可能な限り遅く」の解釈について議論を行い、ドイツのハルバーシュタットのブキャルディ教会で639年に渡る演奏が始まりました。


これは1361年に世界初のオルガンがハルバーシュタットに設置されてから2000年で639年を迎えたことにちなんだもの。理論上オルガンは永久に演奏可能ですが、物理的な演奏可能性を考慮してオルガン設置から演奏開始に至るまでの期間が採用されました。

とはいえ、演奏の頭の休符は2003年2月まで続き、その後も1音が数ヶ月から数年に渡って鳴らされます。最新の音は2020年9月5日に発せられ、これは2022年2月5日まで続きます。以下はその際の映像です。


今地上に生きている誰一人としてこの演奏の終わりを目の当たりにすることはできません。西暦2640年、果たしてこの楽曲の演奏は無事に終わりを迎えることができるのでしょうか?

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