孤独を感じている高齢者、寿命も健康寿命も短いと明らかに


高齢者の孤独が命や健康をむしばんでいることが示されています。詳細は以下から。

◆孤独を感じる高齢者は寿命も健康寿命も短い
シンガポールのDuke-NUS医科大学で、孤独な高齢者は孤独でない同世代よりも短命で不健康になりやすいという研究結果が「Journal of the American Geriatrics Society」に報告されました。

研究では、60歳で自分を「孤独」もしくは「時々孤独」と感じる人は、そうでない人よりも平均で3年から5年ほど寿命が短いことが分かりました。また70歳では3~4年、80歳でも2~3年ほど平均寿命が短いという結果が出ています。

同じデータから、孤独な高齢者は実際の寿命に加えて日常生活を自分で送れるだけの健康寿命も同様に短くなっていたことが判明。こちらは60歳なら3~5年、70歳なら2~4年、80歳でも1~3年短くなります。

◆家族と暮らしても「孤独」はあり得る
ここで問題になるのは、孤独とは何かということ。独居していれば孤独なのか、家族らと住んでいれば孤独でないかといえば、実はそうではありません。

研究では、孤独は「自分の望む社会的関係と現実の食い違い」とされ、例えひとりで住んでいても、友人や家族らと社会的な繋がりを楽しんでいれば孤独ではないと言えます。

一方で大勢の家族と暮らしていても、話が通じなかったり邪魔者扱いされていれば孤独を感じることも十分にあり得えます。研究者らが孤独かどうかを知るために指標に用いた質問は以下の3つです。

1.どれくらい頻繁に仲間付き合いが足りないと感じるか

2.どれくらい頻繁にのけ者にされていると感じるか

3.どれくらい頻繁に孤立していると感じるか

それぞれに強くあてはまると感じている人は、人が周りにいるかどうかに関わらず、孤独によって寿命や健康寿命にリスクを負っていることになります。

もちろん、独居で何かあった際にすぐ周囲に助けを求められないための孤独死リスクは、孤独自体とは別に存在していることに注意が必要です。

超高齢化社会が激しさを増す日本社会では、これは誰にとっても他人事ではない問題。今のうちから良好な人間関係をつくっておくことが何よりの健康増進法なのかもしれません。

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