レポートでは、楽天がプラットフォーマーという優位な立場を全力で利用して立ち回る様子が描き出されています。詳細は以下から。
公正取引委員会が12月6日、楽天グループが通販サイト「楽天市場」で導入した出店者負担での送料無料制度で、独占禁止法違反の「優越的地位の乱用」の疑いがあると認定したレポートを公表しました。
楽天市場の送料無料制度は、利用者が3980円以上の買い物をした際に出店者負担で送料を無料とする制度。
全店での一律実施を目指す楽天に公取委は2020年2月、独禁法違反の疑いを指摘。楽天は同3月に選択制に切りかえて導入したものの、公取委は審査継続していました。
今回のレポートはそれ以降の経緯についてのもの。3月以降も楽天の営業担当は送料無料制度不参加店に対し、以下のような行為を続けてきたことが明らかになっています。まとめてみましょう。
1.不参加店の商品の検索順位を上位にしない
2.不参加店の商品をデフォルトでユーザーに表示されない仕様にする
3.出店プラン変更時は送料無料制度への参加を必須とする
4.出店プラン変更後は送料無料制度の適用対象外申請は受け付けない
5.送料無料制度不参加なら次回の契約更新時に退店となる
6.送料無料制度参加店の売り上げを大きく伸ばすキャンペーンを行う
ネット通販サイトで検索から非表示にされたり上位への表示を妨げられれば、売り上げに直結することは間違いありません。加えて楽天はプラン変更に送料無料制度参加をひも付け、変更後は後戻りできないように変更。
さらに不参加店に実質的に退店をちらつかせ、キャンペーンなどでも不参加店への格差を示すなど、極めてえげつない圧力が書き連ねられています。
公取委はレポート内で、楽天側のこうした行為によって出店者に不利益が生じていたことも伝えています。
これにより公取委は、楽天が自己の取引上の優越的な地位を利用し、出店者に不利益を生じさせるなら独禁法違反になり得ると指摘。
楽天側はこれに対して改善措置として、送料無料制度に参加しない出店者の意思を尊重すること、営業担当から措置に反する働きかけをしないことなどを申し出ました。
公取委は改善措置の申し出をもって審査を終了するとのことですが、昨年からの一連の経緯を考えるとまだまだ一件落着と言えるかは微妙なところです。
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