5Gの主導権を巡ったアメリカと中国の争いが、完全に決着してしまいました。
どうやら「絵に描いた餅」と言っても過言ではなかったようです。詳細は以下から。
韓国メディアの報道によると、SKテレコムなど同国の大手携帯電話3社がこぞって28GHz帯の周波数を返上したそうです。
28GHz帯はアメリカ主導の5Gで利用が進められていた「ミリ波」と呼ばれる周波数で、既存の通信サービスでは実現できないような超高速かつ圧倒的な大容量通信を実現できる800MHzもの帯域幅が割り当てられていました。
しかし電波は周波数が高くなればなるほど直進性が強く障害物に弱くなる傾向があり、28GHz帯は人の身体すら遮蔽物になってしまうのが現状。
そのため基地局1台あたりのカバーエリアは非常に狭く、中国が主導する既存の携帯電話ネットワークと親和性の高い「Sub-6(6GHz以下の周波数帯)」での5Gサービスと比べて整備コストが跳ね上がってしまう弱点がありました。
ミリ波とSub-6の差が一目で分かるのが、アメリカ国防総省が2019年4月にまとめたレポート。赤は1Gbps以上、青は100Mbps程度で通信できる箇所ですが、ミリ波で整備したエリア(左)とSub-6で整備したエリア(右)には雲泥の差があります。
「圧倒的な生産台数」というスケールメリットに裏打ちされた低コストな中国製の5G基地局を使えない中、経済合理性を無視してまでミリ波で5Gネットワークを整備するのは無理な話。日本も決して例外ではありません。
ミリ波の活用が頓挫したことを受け、2025年の商用化を目指す5.5Gこと「5G-Advanced」の目標通信速度も下り最大20Gbpsから最大10Gbpsへと引き下げられたため、6Gの技術開発への影響は避けられないようです。
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