先日発表された新型スマホ「DuraForce EX」といった通信機器をはじめ、空中ディスプレイやLi-Fiなど、多岐に渡る電子機器やソリューションを生み出し続けている京セラ。
働き方や生活様式が変わってしまった「ポストコロナ」時代の中で、コミュニケーションに役立つ製品が発表されたので、その様子をお届けします。詳細は以下から。
◆レビュー記事
【速報】京セラのリアルタイム字幕システム「Cotopat」速攻レビュー、言葉を認識してスクリーン表示できて会話の聞き取りづらさ解消や7ヶ国語翻訳も | Buzzap!
◆発表会の様子
まず、京セラが研究開発を行う4つの分野について紹介。
5Gや6G、GaNや光による「情報通信」、人工関節やインプラントに代表されるような「医療・ヘルスケア」、SOFC(固体酸化物形燃料電池)といったクリーンな燃料電池を開発する「環境・エネルギー」、さらに自動運転技術や空間センシングなどの「モビリティ」など、分野は多岐に渡ります。
研究開発拠点は鹿児島の「きりしまR&Dセンター」、京都と大阪と奈良のちょうど中間に位置する「けいはんなリサーチセンター」、滋賀の「滋賀野洲工場」、そして横浜の「みなとみらいリサーチセンター」の4ヶ所。
それぞれ研究開発部門が異なっており、各拠点で連携しながらものづくりを推進しているとしています。
字幕表示システムを開発したみなとみらいリサーチセンターでは、乱雑に置いた物体を即座に認識するAIや、聞き逃した音声をリプレイできる聴覚拡張デバイスなど、システム開発や最先端ソフトウェア技術の研究を行っているとのこと。
アフターコロナ時代において、聴覚障がい者や高齢者の「マスクやアクリル板越しに会話が聞こえづらい」といった声や、今後増える外国人観光客の案内や説明に苦労するといった社会課題があることを受け、今回の開発に至ったとしています。
「リアルタイムに表示される」「ユーザーの環境に応じて設置がしやすい」「専門用語を分かりやすく表示できる」「多言語に切り替えて使える」といった要素を取り入れて開発。
横浜市中区役所やJR新宿駅、同志社大学などさまざまな場所で実証実験を行い、職員と利用者の双方に好評だったとのこと。
これからも社会課題に対し開発と実証実験を繰り返すことで、新しい価値を提供していくとしています。
◆字幕表示システム開発の背景
字幕表示システムを販売するのは、京セラでプリンターや複合機の開発製造や販売を行うドキュメントソリューショングループ。売上高の21.5%を占めます。
今年は大口顧客の減少でプリンター販売こそ低調だったものの、複合機やソリューション事業については好調とのこと。
しかし稼働台数が増える一方で、1台あたりのプリントボリュームが年々減少。ペーパーレス化の波が押し寄せている状況で、他社が真似できない京セラ独自の強みが必要としています。
◆リアルタイム音声字幕表示システム「Cotopat」
そうした中で生まれたのがCotopat。
音声をリアルタイムに字幕として出せるほか、画像や動画なども同時に表示でき、同時翻訳にも対応しています。
単語登録をすることで字幕の精度を上げられるほか、特定の単語を強調表示する機能も搭載しています。
書類の確認や2次元コードなどの図解表示にも活用できます。
手元のテンキーで多言語に切り替えることができます。
官公庁や役所の窓口をはじめ、駅の窓口、病院の相談センターなどでの利用が見込まれています。
実証実験を行った例。まずは横浜市中区の高齢・障がい支援課。
同志社大学で障害を持つ学生を支援する試みとしても使われました。
さらにJR新宿駅の窓口でも活用。
商品構成はプロジェクター、表示用のスクリーン、マイク、テンキースイッチで、すでにアクリル板を使っている窓口などに導入しやすいのが特徴です。
価格やシステム利用料などについても説明がなされました。
◆質疑応答
Q:販売の目標は。
A:8月17日発売のため、今期には100セット販売、将来的には500セット販売したい。
Q:リアルタイム翻訳できるものは他社製にも沢山あるが、他社にないポイントは。
A:文字を強調表示できるというのがひとつ。また絵や動画が同時に表示できるというのはまだ世の中にないものと思っている。
Q:画面に表示される文章は、あらかじめ用意されたものを話者に合わせて表示するのか、それともリアルタイムで話者が話したものが表示されるのか。
A:後者。AIの技術も使っている。
Q:「Cotopat」の販売を担うのは京セラドキュメントソリューションズジャパンだが、どういった理由があるのか、同社にとってCotopatはどういう位置付けの製品なのか。
A:京セラグループの中でも、色々な行政の窓口や病院などに導入しやすく、一番販売網を持っている会社。アフターサービスも対応できるということで選ばれた。直接つながりというのはないが、ICTソリューション製品のうちの1つという認識。
Q:「えー」「あの」などを文字化しないで補正するシステムはあるのか。
A:中間語を排除する仕組みにはなっている。ただ絶対ではない。
Q:文字の正しい変換率は何%なのか。
A:公表はしていないが、実証実験の中で96%を超える正答率だった。
Q:画像や動画はどうやって表示するのか。
A:キーワードに紐付けて登録する。たとえば「清水寺」というキーワードに画像を事前登録しておくと、単語が出た時に表示される仕組み。
Q:京セラドキュメントソリューションズジャパンがメンテナンスなどにも携わるのか。
A:その通り。
Q:2021年から開発していたとのことで、当時はマスクを介した会話を想定しての製品だったと思われるが、今回の販売開始にあたって聴覚障がい者や高齢者向けなどに主眼を切り替えたのか。
A:その通り。ただ健常者においても図解で示したり、言葉の壁を乗り越えるなど、ユースケースが広がるという観点で開発を行った。
Q:実証実験はいつ、どれくらい行われたのか。
A:10~20件の実証実験先で、約2年間行った。横浜市中区役所が一番長い。
Q:オープン価格はどれくらいか。
A:初期費用として40~50万ほどの予定。
Q:特に好評だった実証実験先は。
A:自治体の高齢者、大学など。また医療の顧客など、高齢者が自ら訪れる窓口に需要があると分析している
Q:サポートシステムで月1万かかるということだが、年間にすると12万円。これをデバイス1つごとに払うのか、もしくは違うのか。どういった価格設定なのか。
A:月額サポート料金は1セットにつき1つ、10セットなら年間12万×10。ただ窓口は限定されると思うので、高いという声は伺っておらず、リーズナブルに行けるのではないか。
Q:お互いの話者の言語が違った場合、相互に翻訳はされるのか。
A:現状では双方向ではできない、バージョンアップでできるようにしていきたい。
Q:プロジェクターで投影する理由は。タブレットなどのアプリとして開発した方が簡単だったのでは。
A:対面しながら表示というのが大事。コスト的にもアクリル板のほうが安く、設置もしやすい。
Q:字幕化の部分などで生成AIの技術は使っているのか。
A:現状まだ使っていない。
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