Celeron/メモリ2GB/500GB HDDモデルが26万円、富士通からLenovoが手に入れる「法人向けパソコン市場」の闇



11月2日に行われた会見で正式に決定した、富士通のパソコン事業のLenovo傘下入り。

もはや海外市場で戦う力もなく、右肩下がりの事業をLenovoが手に入れることに、一体何の意味があるのかと思いきや、とんでもない闇が潜んでいました。詳細は以下から。

まず見てもらいたいのが、富士通の法人向けパソコン販売ページ。ユーザーのニーズに合わせて仕様を変更できる液晶一体型のデスクトップが、最小構成価格の時点で26万2656円と、なかなか強気な価格設定となっています。

[富士通WEB MART] ESPRIMO K557/R(国際エネルギースター対応モデル) カスタムメイドモデル : 富士通


しかし最小構成時のスペックは19.5インチ液晶にCeleron G3930T、2GBメモリ、500GBのHDD、DVD-ROMドライブ、無線LANなし、Officeもなし……と、「今日日(きょうび)一体誰が大枚はたいて買おうというのか」レベルのスペック。「価格.com」で6万円のノートパソコン(Intel Core i5、4GBメモリ、128GBのSSD搭載)のほうがはるかに快適に動いてくれます。


ちなみに液晶サイズを23.8インチにしてカメラを付け、快適に利用できるとみられるスペック(Core i5-7500T、8GBメモリ、128GBのSSD、Blu-rayドライブ、無線LAN付き)に変更すると、価格は49万1508円に。5K iMacを2台買ってお釣りが来るほどのべらぼうな高さです。


「法人向けモデルなのだから、サポート込みで高くなるのは当たり前」と考える人は少なからずいると思われますが、なんと上記の価格は標準保証(1年パーツ保証+1年引取修理)時のもの。


延長保証パック、サポートデスクパックなどの保証プランによって値段はさらに吊り上がり、最上位プランでは本体価格に11万円ほど上乗せされるため、最小構成モデルであっても37万4976円になります。


さらに訪問セットアップサービスとして、ネットワーク設定やメール設定などを行ってくれる「PC移行お得パック」が2万2000円で提供されていますが、周辺機器設定やソフトのインストール、データ移行(5GB単位)に4800円ずつが課金されるという仕様。リテラシーの低い層から搾り取れるだけ搾り取る勢いです。


Lenovoが富士通のパソコン事業を買収した背景として、Impress Watchは以下のように解説していますが、確かに官公庁や医療機関相手にこれだけ利のいい商売をできるのであれば、悪くない話。しかし一方で、これだけのゲタを履いていたにもかかわらず、パソコン事業売却を選ばざるを得なかった富士通の経営手腕とは一体何だったのかという気がしなくもありません。

地方自治体などの官公庁、医療機関などでの“富士通”ブランドは非常に強力で、そうした市場は逆に言えばLenovoが弱かった部分でもある。


ちなみに最も高いスペック(といってもiMac 5K未満ですが)やOffice Professional、そして最上位のサポートパックを選んだ際の本体価格は70万1892円。Core i7、64GBメモリ、2TB SSDを選択しMagic Mouse 2+Magic Trackpad 2を追加したiMac 5Kの最上位モデル(59万6600円)すら優に上回ります。


数十台~数百台規模で一括購入すれば、本体価格のボリュームディスカウントも期待できますが、この基本スペックだと6~7割引されてもなお割高となる法人向けパソコン。上乗せされるサポート費用などのために、最小構成のままで購入されてしまう可能性も十分に考えられます。

その場合、「Windowsの起動に時間がかかる」「メモリ不足で複数のソフトを起動すると重くなる」など、明らかにパソコンのスペックの低さを原因とした作業効率の低下を招く未来が容易に想像でき、それをカバーするための残業(最悪の場合、サービス残業も)すら発生するおそれがあることを考えると、闇の深さを感じざるを得ません。

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