つながりやすさに直結、携帯電話各社のLTEで使われている周波数帯をまとめてみた


本日KDDIがau 4G LTEの通信障害における謝罪会見を行った際に、同社が門外不出としていたiPhone 5向けLTEの実人口カバー率が70%(Androidは97%)であることを初めて公開したわけですが、iPhoneとAndroidでカバー率が異なる理由が分かりづらいと感じる人も少なくないはず。

そこで今回、日本の携帯電話各社が用いているLTEを「周波数帯」という観点から解説してみます。詳細は以下から。



◆4つの周波数帯でLTEを展開する携帯電話各社
携帯電話会社は総務省から国民の財産である電波を特定の周波数単位で割り当てられ、通信サービスを展開しているわけですが、2013年6月現在、各社が展開しているLTEサービスの周波数帯をまとめると、ざっとこんな感じになります。

・NTTドコモ
800MHz、1.5GHz、2.1GHz

・KDDI
800MHz、1.5GHz、2.1GHz

・ソフトバンクモバイル
2.1GHz

・イー・モバイル
1.7GHz

基本的に800MHz、1.5GHz、1.7GHz、2.1GHzの4つの周波数帯が用いられており、さらに2015年からはドコモ、KDDI、イー・モバイルのLTE向けに700MHzが加わる予定。なお、ソフトバンクモバイルもNTTドコモやKDDI同様、900MHz帯や1.5GHz帯を割り当てられていますが、こちらはLTEではなく3Gで利用されています。

◆同じLTEでも周波数帯によって全く異なる
そして各社のサービスを比較するにあたっての指標となるのが周波数帯。NTTドコモやKDDIがLTEを展開している「800MHz帯」は電波が障害物を回り込んで届き、建物の中にも浸透しやすい「プラチナバンド」と呼ばれるもので、基地局1台あたりのカバーエリアも広く、携帯電話で最も大事な「つながりやすさ」を得られるのが特徴。

また、基本的に周波数帯は数字が大きくなればなるほど障害物や建物の中などに弱くなるため、「2.1GHz帯」などは基地局1台あたりのカバーエリアが狭くなりがちですが、逆にその特性を生かして街中などの人口密集地にきめ細かく設置し、それぞれの基地局が抱えるユーザーを減らすことで通信速度を向上させられます。

「面」をカバーできる800MHz帯と「点」をカバーできる2.1GHz帯、携帯電話各社はこれらをうまく組み合わせるなどしてLTEのエリア整備を進めているわけです。

◆auのAndroidとiPhoneでLTEのカバーエリアが異なる理由
ではどうしてauはiPhone 5とAndroidでカバーエリアが異なるのか……という部分ですが、これは非常に簡単。iPhone 5が対応しているLTEの周波数帯は、国内では1.7GHz帯と2.1GHz帯のみであるからです。

携帯電話各社が展開しているプラットフォームとLTEの周波数対応状況。iPhone 5の「ダブルLTE」をアピールするソフトバンクモバイルに対して、NTTドコモやKDDIはAndroidで「トリプルLTE」を実現した形に。なお、ソフトバンクのAndroidは「LTE(FDD-LTE)」とは異なる通信規格「TD-LTE」と互換性を持った「AXGP」を採用しています。

・NTTドコモ
Android:800MHz、1.5GHz、2.1GHz

・KDDI
Android:800MHz、1.5GHz、2.1GHz(2.1GHz対応は2013年夏モデルから)
iPhone:2.1GHz

・ソフトバンクモバイル
iPhone:2.1GHz、1.7GHz(イー・モバイルのLTEを「ダブルLTE」として利用)
Android:2.5GHz

・イー・モバイル
Android:1.7GHz

このように「携帯各社がどの周波数帯でLTEを展開しているか」と並んで大事なのが「端末がどの周波数帯のLTEに対応しているか」という部分。プラチナバンドを使ったLTEへの対応状況が使いやすさにダイレクトに影響してくる側面は否めないため、端末選びには気を付けたいところです。


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