ダイソンの扇風機や掃除機、ルンバ、レイコップなど、ありとあらゆるデザイン家電に無双され続けてきた日本の家電メーカー各社が、ようやくデザインの重要性に気付いたそうです。詳細は以下から。
電機各社、デザイン重視の家電開発でしのぎ 価格と機能勝負から脱却 (1/4ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)
産経新聞社の報道では、「機能面での明確な差別化が難しくなる中、デザインに新たな価値と市場を見いだそうとしている」「家電をインテリアの一部として捉えて快適な空間を演出することで、購入意欲の向上につなげたい考え」として、デザインに注力した家電メーカー各社の取り組みを紹介しています。
まずはパナソニックが今月発表した、直線中心のデザインでインテリア空間にも合うななめドラム洗濯機「キューブル」。
空間に調和するデザインにこだわった洗濯機を開発した理由について、パナソニックは「(機能面などの)数字で測れない家電の価値を見落としていた」と説明。しかし、むしろこれだけデザイン家電が人気を博す中で、デザインに手を着けてこなかったこと自体に驚く人も多いのではないでしょうか。
続いてはシャープが8月に発表した加湿空気清浄機「S-style」。空気清浄機の普及率は5割程度にとどまっていますが、同社担当者は「デザインやスタイルにこだわった新製品の投入で、非保有者にアプローチしたい」とコメントしています。
看板の液晶事業を手放すことになることが濃厚なシャープは、今年10月から経営再建へ向けたカンパニー制へ移行しますが、家電のデザインを強化し、新規顧客の開拓を狙う社長直轄の「ブランディングデザイン本部」を立ち上げる方針。
しかし遅きに失している感は否めず、「もっと早くに手を着けておけば、液晶一本足打法ではなく、家電が経営の柱になってくれたのでは……」という気がしてなりません。
そして最後に三菱電機のインテリアに調和したルームエアコン「(PDFファイル)霧ヶ峰FLシリーズ」。スタイリッシュなデザインにエアコン本体の色としては珍しいボルドーレッドが採用され、2016年春発売を予定しています。
なお、上記2社と異なり、三菱電機はDCモーター扇風機「SEASONS」や炊飯器「炭炊釜」シリーズ、冷蔵庫などで、今までの製品とは一線を画したデザインを採用しています。
中国や韓国のメーカーであっても、国内メーカーとさほど変わらない性能の製品を安く作れてしまう「コモディティ化」が進んだ家電業界。
必ずしもデザインがすべてではないものの、機能や性能をどれだけ強化しても、単価が上がって売れなくなるだけで、かえって自分の首を絞める結果になるだけというのは、多くのメーカーが赤字を垂れ流した液晶テレビ事業のことを考えれば分かりそうなことではないでしょうか。
なお、パナソニックから三洋の白物家電部門を買収し、ノウハウや技術力を得た中国メーカー・ハイアールは昨年、デザイン家電を手がけるamadanaと業務提携。
もともと価格競争力のある中国メーカーすら、とっくにデザイン面の強化を進めているにもかかわらず、今ごろになって家電のデザイン性について着目し始めたメーカー各社の危機感の薄さが非常に気になります。
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