リーズナブルな利用料金や端末価格を実現する代わりに24ヶ月間の利用期間を設け、更新月以外での解約に対して契約解除料を課す、いわゆる「2年縛り」を携帯電話各社が導入している中、いつの間にか唯一「3年縛り」が当たり前となっているウィルコム。
契約期間が長いと「一度契約するとなかなか解約できない」という問題が発生するわけですが、同社の「3年縛り」が当たり前になるまでの過程を振り返ってみました。
◆きっかけは「新ウィルコム定額プランS」、まずは若年ユーザー向けに音声端末を3年縛りに
ウィルコムが業界初となるキャリア間通話およびメール送受信無料となる「ウィルコム定額プラン」を月額2900円で展開したのは2005年5月。同プランは1年を契約期間として毎年契約が更新され、初年度のみ解約時に4200円、2年目以降は2100円の契約解除手数料がかかるという、「2年契約が前提で更新月以外に解約すると違約金9975円」が当たり前の携帯電話各社よりも緩いものとなっていました。
しかし状況が一気に変わったのは2009年12月から提供開始された「新ウィルコム定額プランS」。
「ウィルコム定額プラン」を従来の半額となる月額1450円で利用できる同プランですが、3年未満で解約または対象プラン以外に契約変更すると、4200円(初年度)または2100円(2年目以降)の年間契約解除手数料に加えて、料金コースの解除料金として別途5775円が発生することに。この内容は2010年12月に「新ウィルコム定額プランS」の対象がすべてのユーザーへと拡大された際にも引き継がれています。
◆「HYBRID W-ZERO3」向けの「新ウィルコム定額プランG」にも3年縛り
そして「新ウィルコム定額プランS」に続く形で、新たにPHSとNTTドコモの3G回線の両方を利用できるスマートフォン「HYBRID W-ZERO3」向けの「新ウィルコム定額プランG」が2010年1月に導入。
同プランは安価な3G通信に加え、「ウィルコム定額プラン」を従来の半額となる月額1450円で利用できるというものでしたが、3年未満で解約または対象プラン以外に契約変更すると、4200円(初年度)または2100円(2年目以降)の年間契約解除手数料に加えて、料金コースの解除料金として別途5775円が必要となるため、加入できるユーザーが限られていた「新ウィルコム定額プランS」よりも先に、すべてのユーザーに対して事実上3年縛りが導入された形となりました。
また、この「新ウィルコム定額プランG」はウィルコムの親会社がソフトバンクになったことを受け、「新ウィルコム定額プランGS」と名前を変えて提供中。NTTドコモではなく、ソフトバンクの3G回線を利用するタイプの「HYBRID W-ZERO3」や「SOCIUS × GALAPAGOS 003SH」セットをはじめとするPHS端末とスマートフォンのセットに適用されています。
◆PHSの新たな使い方「お知らせ窓センサー」も3年縛り
2011年秋冬モデルとして「イエデンワ」や「ストラップフォン」といった今までの常識を覆す個性的な端末が発表されるなど、PHSに新たな風が吹き込む中、今年3月に登場したのが、窓の開放を感知すると警告音を発し、あらかじめ登録した通知先にEメールで知らせる機能を搭載したほか、PHSの省電力を活かして単4アルカリ乾電池2本で約6ヵ月以上駆動できる「お知らせ窓センサー」。
安価な防犯対策としてなかなか良さそうなモデルですが、提供される月額525円の専用料金コースは他の料金プラン同様、3年以内に解約すると初年度4200円、2年目以降2100円の「年間契約解除手数料」に加え、専用料金コースの解除手数料として5775円が発生することに。
◆2台目、3台目が無料になる「もう1台無料キャンペーン」にも3年縛りの波が
2011年1月から導入、5月にさらなる拡充が行われ、純減が続いていたウィルコムの加入者回復の原動力ともなった、1台契約すると2~3台目の「新ウィルコム定額プランS」の月額料金が無料になる「もう1台無料キャンペーン」にも3年縛りの波が到来。
キャンペーン開始当初は「新規契約事務手数料無料、2台目、3台目はいつでも自由に解約可能」であったのが、2012年4月以降契約分からは事務手数料に加えて、3年以内に解約すると初年度4200円、2年目以降2100円の「年間契約解除手数料」に加え、料金コースの解除手数料として5775円が発生。月額料金が無料だからといって2台目・3台目を気軽に申し込むと、解約時に困ることになりかねません。
WILLCOM|イチオシ★ウィルコム ~もう1台無料キャンペーン~
・7月2日15:25追記
提供条件の変更が行われ、3年縛りが7月1日に撤回されました。
ウィルコムが「もう1台無料キャンペーン」への3年縛りを撤回、契約解除料などが不要に | BUZZAP!(バザップ!)
◆もちろん「DIGNO DUAL WX04K」にも3年縛り、契約解除手数料は9975円固定
そして極めつけが5月29日に大々的に発表されたウィルコム初のPHS・3G両対応Androidスマートフォン「DIGNO DUAL WX04K」。
同モデルには月額6755円でウィルコム同士通話無料、キャンペーン期間中に契約すると他社への10分以内の通話が月500回無料になる「だれとでも定額」も無料、さらに月間1000万パケットまでの通信であれば帯域制限を気にせず利用できる専用料金プラン「ウィルコムプランD」が提供されますが、初年度のみ解約時にかかる手数料が計9975円で、2年目以降の場合は計7875円だった従来とは異なり、3年未満での解約・コース変更は契約解除手数料として一律9975円がかかる仕組みとなりました。
ちなみに夏モデルに先駆けて4月に発表されたモバイルルーターにもなるPHS端末「PORTUS」向けの料金プラン「ウィルコムプランW」も同様に契約解除手数料一律9975円の3年縛りが課せられています。
◆日進月歩の携帯電話業界、契約時にはよく検討を
このように大半のサービスが3年縛りとなってしまっているウィルコムですが、携帯電話各社がサービスの向上を競い、絶えず魅力的な新サービスを繰り出してくる中で、「契約期間が長い」というのはユーザーにとってデメリットとなりかねないのが現状。また、「一度更新月を逃すと次の更新月は3年後」……というのも、契約時にある種の覚悟を強いられるものと言わざるを得ません。
NTTドコモやKDDI、ソフトバンク、イー・モバイルなどの携帯電話番号(090ないし080で始まる番号)であれば、MNPを利用すれば乗り換え先に契約解除手数料を負担してもらえる場合がありますが、現時点ではウィルコムの電話番号(070で始まる番号)でMNPを利用して他社に転出することもできないため、契約時にはよくよく検討する必要がありそうです。
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