実は気になる点が多数、「DIGNO DUAL WX04K」を改めて冷静に考え直してみた


先ほどウィルコム初のAndroidスマートフォン「DIGNO DUAL WX04K」の超速攻レビューをお届けしましたが、発表当初は「ついにウィルコムからAndroidスマートフォンが!」という気持ちであったものの、落ち着いて冷静に考え直してみると、いろいろなものが見えてきました。



◆スペックは「必要最低限のものは揃えてある」という印象
まず多くのユーザーが最初に気にしたであろうポイントが「DIGNO DUAL WX04K」のスペック。同モデルは4インチWVGA(800×480)液晶に加え、昨年秋冬モデルとして発売された「HONEY BEE 101K」と同じCPU「R-Mobile APE5R(デュアルコア、1.2GHz)」や500万画素背面カメラ、30万画素前面カメラを搭載しており、ワンセグや赤外線通信といった国内向け機能にも対応した防水スマートフォンです。

多くのハイエンドモデルに採用されているqHD(960×540)やHD(1280×720)解像度のディスプレイや、クアルコムの第4世代Snapdragon、NVIDIAのクアッドコアプロセッサ「Tegra 3」といった最新CPU、1000万画素を超えるような高品質カメラは搭載しておらず、性能的に突出してはいませんが、下り最大21Mbpsの「ULTRA SPEED」にも対応しており、そこそこ使えるであろうスペックとなっています。

なお、W-ZERO3シリーズで親しまれ、文字入力が非常に便利だったスライド式QWERTYキーボードは搭載されていませんが、「HYBRID W-ZERO3」の時点でテンキーへと移行しており、携帯電話各社がQWERTYキーボードを搭載したモデルをほとんど出さなくなった現状を考えると、時代の流れと考えて諦めざるをえないのかもしれません。

◆実はそこまで安くない料金、テザリングも封印
そして新たに「DIGNO DUAL WX04K」向けとして発表された新料金プランが「ウィルコムプランD」。同プランではキャンペーンとして「だれとでも定額」が当分の間無料となるわけですが、実はソフトバンクモバイルやauでAndroidスマートフォンを契約した時と毎月支払う金額自体は変わりません。

・ウィルコムプランD
基本使用料(980円)+WEB接続料(315円)+3Gパケット定額(5460円)=6755円


<参考>ソフトバンクモバイルやauで「ホワイトプラン」などのスマートフォンを契約し、加入者間通話無料とパケット定額プランを申し込んだ場合
基本使用料(980円)+インターネット接続料(315円)+パケット定額(5460円)=6755円

ちなみに「HYBRID W-ZERO3」の際に提供された「新ウィルコム定額プランG」はこんな感じ。

・新ウィルコム定額プランG
基本使用料(1450円)+3Gパケット通信料(0~5250円)=最大6700円


つまり「新ウィルコム定額プランG」と比較すると「ウィルコムプランD」は月額トータルで55円ほど高い上に、「HYBRID W-ZERO3」で利用できていたテザリングは封印されたほか、PHSは音声のみでデータ通信は利用できず、毎月5460円の3Gパケット料金が必ず発生するという事態となっています。

◆契約期間は2年縛りではなく3年縛り、乗り換えづらいプランに
続いて「ウィルコムプランD」において気になるのが、同プランが一般的な携帯電話よりもさらに1年多い、3年縛りであるという点。契約は3年ごとに自動更新されるほか、更新月以外に解約した場合は契約解除手数料として9975円を支払う必要があるため、一度契約すると乗り換えづらい部分もあります。

◆非常に気になる通信量制限、既存ユーザーの乗り換えに優しくない面も
そして極めつけとなるのが、「ウィルコムプランD」の通信量制限。「前々月の月間パケット通信量が1000万パケットを超えるユーザーに対して速度制限を実施することがある」とされており、これはソフトバンクモバイルがスマートフォン向けに課している帯域制限の基準(月間1000万パケット)と同等、NTTドコモやKDDIが課している「直近3日間で300万パケット(仮に1ヶ月換算すると3000万パケット)」という基準よりも厳しいものとなります。

通信品質およびネットワーク利用の公平性確保のため、一定期間大量の通信を行うパケット定額サービスご利用のお客さまに対して、一時的に通信速度を制限する場合があります。前々月の月間パケット通信量が1,000万パケットを超えたお客さまが速度制限の対象となります。基準(対象および制御期間)については、今後の通信品質状況によって見直す可能性があります。その際は当社ホームページにてあらためてお知らせします。


つまり下り最大21MbpsのULTRA SPEEDをサポートしているにもかかわらず、1日あたり33万パケット(約42MB)以上通信すると帯域制限の対象となりうるため、スマートフォンで人気の「YouTube」や「ニコニコ動画」といった動画サイトの閲覧や「Skype」「LINE」といった無料通話ソフトの利用に支障をきたす可能性があるわけです。

また、「ウィルコムプランD」を契約したユーザーに対しては、メールアドレスのドメイン名が「@wcm.ne.jp」となり、今までの「willcom.com」「pdx.ne.jp」「**.pdx.ne.jp」の継続利用ができなくなるため、従来のウィルコムユーザーでさえも乗り換える際にメールアドレスを変更せざるを得ないといったデメリットもあります。

◆人を選ぶことになりそうな「DIGNO DUAL WX04K」、通話重視なら「買い」か
このように必ずしも良い側面ばかりではない「DIGNO DUAL WX04K」ですが、やはり大きな強みとなるのが「だれとでも定額」を利用できるという点。他社携帯電話や固定電話、IP電話などへの10分以内の通話が月500回無料になるというのは、頻繁にあちこちに電話をする必要がある外回りのビジネスマンなどのユーザーにとっては特にメリットが大きいと思われます。

また、PHSと3Gの電話番号の2つを持つことができるため、プライベートや仕事用など、用途に応じて番号を使い分けることも可能。さらにPHSとスマートフォンを2台持ちするのとは異なり、1つにまとめることでかさばらず、充電の手間も1台分で済むといったメリットもあるため、ユーザーとのニーズさえマッチすれば、悪くないモデルなのではないでしょうか。


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