アイスランド観光で決して外せない、世界遺産にも登録された国立公園があります。詳細は以下から。
アイスランドを観光する時、必ず訪れるゴールデンサークルの中でも別格扱いされるのがシンクヴェトリル国立公園。ブルーアルフォスの滝からは365号線から36号線へと入り西へ50km、1時間弱のドライブです。
ユネスコの世界遺産にも登録されているこの場所はシンクヴァトラヴァトン湖の北辺に位置しており、ふたつの意味で極めて重要です。
ひとつ目は大西洋中央海嶺の地上露出部分であるということ。この公園の東にユーラシアプレートが、そして北米プレートが西に広がっているという、まさに大地の裂け目なのです。
ふたつ目は10世紀にこのシンクヴェトリルで「アルシング」と呼ばれる世界最古の近代議会が開催されていたということ。
地球としても、人類としても、シンクヴェトリルがまたとない特異点とも呼べる場所であることがちょっとご理解いただけるでしょうか。
さて、ブルーアルフォスの滝から西に向かいます。
どこまでも続く草原の果てに山々が連なります。内陸部ならではの光景。
草原の切れ目なのか、時折荒野のように見える景色も。
さて、シンクヴェトリル国立公園に到着です。意外にも静まりかえっています。
資料館のような建物も閉まっています。タネを明かすと、この時点で既に現地時間で19時。観光バスはレイキャビクに戻り、施設は営業時間を過ぎていました。
ですが白夜に近い夏のアイスランド。夕焼けにすらまだ程遠く、自分の足を持つ観光客らはまだ辺りを見物しています。
展望台から見渡してみました。取材班が立っているこの崖が北米プレートの最東端で、足下に広がっているのが大地の裂け目だと想像すると、景色の持つ意味は大きく違って見えます。
動画で見てみましょう。スケール感を感じていただけるでしょうか。
展望台から大地の裂け目を下りていきます。この裂け目のことをアイスランドではギャオと呼びます。
裂け目の底まで来ました。とはいえ、名状し難き深淵が口を開けて覗き込んだ人を覗き返してくるようなことはありません。
むしろ美しいお花畑が広がっています。和みますね。
このギャオに沿って歩いて行くと、すぐに見えてくるのがこちらの「法の壁」。アイスランド国旗が残されています。ここがアルシング発祥の血であり、正確には跡地となります。現在アルシングは首都レイキャビクの中心に移動され、同じ名前でアイスランドの国会として存続しています。
動画で見渡してみましょう。アイスランド人達は1000年以上も昔にこの地で、大地の裂け目と湖に注ぐ美しい川を眺めながら近代議会を開催していたと考えると、ちょっと気が遠くなりそうです。
もちろん当時のアルシングは現代の民主主義と同じものではありません。島の各地の集落の有力者であるゴジが追従者である農民のシングマンたちを連れてアルシングに参加します。
アルシングでは集まった人々が平野にテントで宿泊しながら宴会、スポーツや詩の朗誦などの娯楽が行われたり市が立つなど、交流と商業の場としても機能していました。
アルシングでの話し合いは揉め事などの裁判が主として行われていた記述が「サガ」に見られます。そうした判例が法として機能していったようです。
ただし、常に平和的だったわけではなく、闇討ちが行われたりアルシングへの往復の間に戦闘が行われたこともあったようです。
さて、法の壁からさらにギャオをぐるりと回り込むように進んでいくと、小さな滝オクサルアゥラフォスがあります。
大地の裂け目を流れ落ちる美しい滝。デッキが整備されていてほっと一息つける休憩所になっています。
ちょうど滝に沈む夕陽を見ることができました。
流れ落ちた川はギャオの間を進み、シンクヴァトラヴァトン湖に注ぎ込みます。
ギャオから離れて国立公園の中を散歩してみましょう。聳え立つギャオが続きます。アルシングの時にはこの辺りにテントが並び、スポーツや詩を楽しみながら杯を交わしていたのでしょうか。それとも謀略が渦巻き、血なまぐさい襲撃があったのでしょうか。
おとぎ話に出てきそうな小さな教会が見えてきました。
ここはシンクヴァトラキルキャ教会。この地にはキリスト教の伝来した1000年前後に教会が建てられたとされています。もちろん建物は当時のものではありません。
シンクヴァトラヴァトン湖方面へ散歩。空気が少しずつ冷たくなってきて夕闇が迫ってきている感触がありますが、それでも北欧の夏の昼は驚くほどに長いもの。
鴨の顔も日本で見るのとは少し違って見えます。
さて、BUZZAP!取材班は翌日悪天候の予報を受けてアイスランドの西の果てへと向かうことに決めました。いよいよアイスランドの旅も大詰めです。
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