法人ユーザーがソフトバンク版からKDDI版iPhoneへ移動、「つながりやすさ」が理由に


昨年10月にソフトバンクの独占を崩し、KDDIからも発売されることとなったAppleの「iPhone 4S」。

これにより両社によるiPhoneユーザー獲得合戦が繰り広げられることになったわけですが、今までソフトバンク版を利用していた法人ユーザーがKDDI版へ乗り換えるという事態が発生しています。



◆つながりやすさを検証した上でKDDI版iPhone 4Sに乗り換えた武田薬品工業
プラチナでも不安? ソフトバンク見限った大口顧客  :日本経済新聞

日本経済新聞社の報道によると、2010年9月から2000台のソフトバンクモバイル版iPhoneを導入していた武田薬品工業が今年6月にMNPを利用してKDDI版iPhoneに全面的に乗り換えたそうです。

これは全国各地の病院などを回る武田薬品のMR(医薬情報担当者)のうち、主に郊外を担当するスタッフが「つながらない場合がある。何とかしてほしい」という苦情を本社に訴えたことによるもの。

武田薬品は当初、コストがかさむのを承知でソフトバンク以外との2台持ちを容認していましたが、KDDIがiPhone 4S販売に踏み切ったことを受け、比較・検討の上で移行を決断したとのこと。ソフトバンクは武田薬品に対してプラチナバンドによる電波改善を材料に引き留めを試みたものの、決意は変わらなかったとされています。

また、今回の大口乗り換えを受けて、MR業務受託会社「アポプラスステーション」も武田薬品に追随。ソフトバンク版iPhoneを3350台導入している第一三共の担当者もプラチナバンドでの電波改善が十分でなければ、他社に乗り換える可能性があることを示唆するなど、法人ユーザーの中にも気になる動きが見えています。

◆プラチナバンド導入でソフトバンクモバイルの電波は大きく改善へ
ソフトバンクモバイルの「プラチナバンド」と呼ばれる900MHz帯を利用した通信サービスは7月25日から展開される予定ですが、プラチナバンドには従来の2.1GHz帯と比較して1つの基地局でより多くのエリアをカバーできるほか、建物などの障害物を回り込んで届くというメリットがあるわけです。

プラチナバンドの割り当てでNTTドコモやKDDIと「平等な戦いができるようになる」としているソフトバンクモバイル。

900MHz帯の基地局については2012年度中に約1万6千局が設置され、2016年度中には約4万1千局まで増設されることで、人口カバー率が99.9%に引き上げられる予定です。

iPhone 4S発表会公式ページにおいて、「通信速度が速い」「通信しながら通話ができる」「メールのリアルタイム受信に対応」といった、自社版iPhoneの優位性を殊更に主張していたソフトバンクモバイル。

しかしもともとKDDIに分があったエリア面以外にも、発売後の実効速度調査でKDDIに引けを取る結果が出たほか、メール機能でも逆転されるなど、どんどん差を縮められていたわけですが、プラチナバンドの導入で再び引き離せるようになるのでしょうか。

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