【印度通信 Vol.23】インドのどローカルの映画館に行ったら自由すぎました

前回訪れた映画館があまりにもきれいすぎたので、インドそれだけじゃないだろう!ということでホテルの近くで見つけた地元の映画館にも突撃してみることにしました。自由です。インドさすがでした。


21世紀の今もマハラジャから乞食までが共存しているのがインド。カースト制が廃止されても貧富の差はまだまだ激しく、生活レベルも天と地ほどの差があります。ですが前回紹介したショッピングモールの豪華な映画館でなくても映画を楽しむ場所がちゃんとインドには存在しています。

ヴァラナシのとある街角にふと見つけた映画館。人通り(そして無理矢理通る車とリキシャ)の多い路地裏にありました。ホテルの人には「女の子1人で行くのはやめたほうがいいかな」レベルの治安らしいですが…。

ひと気がありませんが大きくポスターも貼ってあるのでやってはいるようです。「Murder 3」というどうやらちょっとセクシーなサイコサスペンス風の作品。新聞にも載っていたので結構話題作のようです。

チケットは50ルピー(約100円)。前回の3分の1です。更に安い30ルピーと40ルピーのチケットもあります。

こうして見るとチケット代が30ルピーで税金が20ルピー。

入り口はガラーンとしています。筆者の席は2階のようです。

階段の途中には古ぼけた棚があり、シヴァ神の絵やトロフィーが飾ってありました。過去にはごった返した時期もあったのでしょうか。

2階もガラーン。ちゃんと経営して行けているのか心配になります。

でもトイレは古いなりにきれいに掃除されています。「カーストで与えられた仕事を真面目にやるのは神への祈りであり奉仕である」というヒンドゥー教の考え方があるため、インド人はこういうところでは手抜きはしません。

中に入るとこんな感じ。古き良き時代の映画館を思い出させてくれます。

しかし上映が始まるとなんだかシンナー臭くなってきます。不良がこんなところでシンナー吸ってるわけでもないだろうし…と思ってふと見るとヘッドライトを付けたおっちゃんが椅子のペンキ塗りをやっていました。これには唖然。

しかも映画の休憩時間(必ず入ります)までずっと。映画の内容は関係なく頭がクラクラします。休憩の時にカメラを向けたらニッコリとポーズを取ってくれました。やはりインド人は撮られるの大好きです。

休憩で外に出るとからっぽだったロビーには人がちらほら。誰もいなかったカウンターにおっちゃんがいていい匂いが漂ってきます。シンナーで曲がりそうになった鼻には嬉しい限り。

休憩時間限定の即席の売店です。せっかくなので買ってみます。

サクサクのパイです。具はサモサのようなマサラ味のポテト。ちょっと喉は渇きましたが美味しかったです。

再び戻って映画鑑賞。ですが休憩時間の後もしばらくはみんな容赦なくドアを開け放って出入りしています。

最後はエンドロール中にドアが全開にされてお客さんはバタバタと出てゆき、しかも途中でブツンと切られてしまいました。いいのかそれ!?

なお、映画の内容はイケメンのエロカメラマンと新婚の奥さんともうひとりのセクシー美女の謎めいたサスペンスもの。今回もド派手なボリウッドダンスは見られず。これが最近の潮流なのかもしれません。

ちなみに映画館を出る時に話しかけてきた若者2人組は「ものすごく入り組んでいて複雑な内容で面白かったよな!」と興奮気味でした。でも、まったくヒンディー語のできない私でも筋がほぼ分かってしまったので、これで複雑だときっとタランティーノ作品は見られない気もします。

さて、インドの映画はどちらに向かうのでしょうか?

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