気がつけば「みまもりケータイ」などの用途を限定した端末や既存モデルの新色を除いて、フィーチャーフォン(従来型の携帯電話、別名「ガラケー」)が発売されない事態となった大手携帯電話会社の2013年夏モデル。
KDDIが2013年秋冬モデルとして新機種を投入するなどの動きはありますが、もう少し柔軟に展開してもいいのではないか……という話をお届けします。
◆大手携帯各社はフィーチャーフォンに消極的
まずは大手携帯電話3社のフィーチャーフォンのラインナップをおさらい。スマートフォンの急速な普及を受け、「mamorino」や「みまもりケータイ」「キッズケータイ」といった用途が限られる機種や既存モデルの新色を除くと、2013年になってから1機種もリリースされていません。
まずはNTTドコモ。スリムやスタイリッシュさを前面に押し出した防水ケータイ4機種を2012年冬モデルとして展開。
続いてはKDDI。裏面照射型CMOSなどを採用した比較的高性能な「K011」とワイドQVGA液晶搭載などにとどめた「PT003」を2012年夏に発売。今回フィーチャーフォンを発表しなかったため、実に1年以上新機種が出ないことになります。
最後にソフトバンクモバイル。性能を抑えた代わりにカラーバリエーション豊富なPANTONEシリーズ「202SH」を2012年冬モデルとして投入。同年夏にはハイスペックモデル「109SH」も投入しています。
◆スマートフォンとの「2台持ち需要」を積極的に狙うウィルコム
このようにフィーチャーフォンの新機種投入ペースは顕著に落ち込んでいるわけですが、そんな中でひたすら全力投球を続けるのがウィルコム。高画質な画面やカメラを廃し、通話とメールに特化することで「スマートフォンとの2台持ち」を目指した機種を続々とリリースしています。
スマートフォンとの連携を大きく強化した最新モデル「PANTONE WX03SH」。Bluetoothハンドセットとして利用できる機種が拡大しています。
ストラップとして使えるほど小さい「ストラップフォン2」
スマートフォンの外付けバッテリーになる「ENERUS WX03S」。
極めつけがモバイルルーターとフィーチャーフォンを合体させた「PORTUS WX02S」。まさに多彩なラインナップです。
◆もっと割り切った機種や、冒険した機種を出しても良いのではないか
上記のウィルコムの各機種は、かつて注力していたデータ通信を親会社のソフトバンクに任せ、音声通話に特化したからこそできることであるとは思われますが、これらの機種には今までのフィーチャーフォンには無い、スマートフォン時代を意識した特長があるのも事実。特にNTTドコモやKDDIは冒険する余地があるのではないでしょうか。
また、NTTドコモやKDDIはフィーチャーフォン全盛期に個性的な機種を数多くリリースしており、無難な機種を出すくらいなら、いっそ2台目用として割り切った上で、当時のスペックほぼそのままにリバイバルしてはどうか……と思わなくもありません。
今でも再商品化の要望があるとされるNTTドコモの超小型mova端末「premini」シリーズ。
スマートフォン専業メーカーとなってしまったソニーの「SO903i」。センタージョグとPOBoxを組み合わせることで、非常に快適なレスポンスでメールを作成できるモデルでした。
こちらはニューヨーク近代美術館(MoMA)収蔵品入りを果たした初代INFOBAR。KDDIはフィーチャーフォン時代に「talby」「MEDIA SKIN」などの「au design project」端末に加え、「G'z One」などの個性的なラインナップを展開。一部のコンセプトはスマートフォンにも引き継がれています。
携帯電話・PHSの契約数が日本の総人口を超える1億3732万4400に達するほど拡大し、携帯電話各社は純増のために「2台目」などの新たな需要を狙わざるをえないわけですが、このままフィーチャーフォンを終わりつつある市場としてとらえるのではなく、既存の資産や新しいアイディアを活用し、自ら需要を生み出していくのも1つの手だと思われます。
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