メキシコ湾の海底で5万年以上昔の森が発見される

地球が氷河期だった頃、メキシコ湾は陸の上でした。そして、そこには深い森がありました。そして現在、海の底から当時の森が姿を現しているのが発見されました。


メキシコ湾の海底18mの地点に1.3平方キロメートルに渡って広がっているのが見つかったのは、氷河期だった5万年以上前のイトスギの森です。2005年にアメリカ南部に大きな被害をもたらしたハリケーン・カトリーナが襲来した時に海底の泥が巻き上げられて森を覆っていた泥が取り払われたのではないかとされています。

この場所を見つけたのはスキューバダイバーのBen Rainesさん。2006年にRainsさんがダイブショップを経営している友人と話していた時、友人は地元の漁師が魚が非常に豊富な場所を見つけたと話しており、ダイバーからはそこで森を見たという話を聞き出します。

ですが、友人は沈没船などのダイビングスポットからものを勝手に持ち出すダイバーが多かったため、被害を恐れてその森の場所を明かしていませんでした。しかし友人は最終的に2012年にRainsさんに秘密を守るという約束で場所を教えました。

そしてRainsさんはついにそこに潜り、海底に広がる巨大なイトスギの森を発見しました。酸素の殆ど無い泥の中に埋もれていたことから木々の保存状態は非常によく、サンプルを切った時には新鮮な杉の香りが漂ったとのこと。放射性炭素年代測定を行ったところ、なんと52000年前の杉であることが分かりました。

イトスギは1000年以上の寿命を持っており、直径2mにも及ぶ樹木も発見されていることから、当時のメキシコ湾地域の1000年単位の気候変動の様子などを読み取る貴重なサンプルとなるということです。

ただし、この森は魚や海洋生物の格好の住処となっており、根や幹に穴を開ける生物も多数存在しています。ハリケーン・カトリーナ以降海中に姿を表したばかりですが、これからも海中生物が森を住処としていくことから、研究を進められる時間はあと2年程度と予測されています。

ハリケーンの影響でこの世に忽然と現れた太古の森。ですがそのことによって生き物たちの巣となり、再び朽ちて形を変えていくことになります。なんとも壮大な話ではないでしょうか。

Primeval Underwater Forest Discovered in Gulf of Mexico LiveScience

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