ウィルコムのPHS用1.9GHz帯、iPhone 5S/5CがTD-LTEで対応する「バンド39」に

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ウィルコムが将来、LTEなどの高速通信サービスを展開するのではないかということを以前BUZZAP!でお伝えしましたが、さらに興味深い事実が明らかになりました。詳細は以下から。



◆ウィルコムのPHSの帯域(1.9GHz帯)はiPhone 5S/5Cが対応する「バンド39」
W-CDMAおよびGSMを基本とする3GやLTE、LTE-Advancedの仕様の検討・作成を行う標準化プロジェクト「3GPP」の仕様書において規定されているLTEの周波数帯一覧によると、ウィルコムがPHSを展開している1.9GHz帯(1884MHz~1915MHz、30MHz幅)は「バンド39(1880MHz~1920MHz)」と合致しています。


現在、バンド39ではPHS(日本)とTD-SCDMA(中国)が展開されており、FDD-LTEやTD-LTEには用いられていませんが、唯一のFDD-LTEおよびTD-LTE両対応モデルとなったiPhone 5S/5C「モデルA1529」「モデルA1530」のTD-LTE通信機能は「バンド38」「39」「40」をサポートしています。



なお、「モデルA1529」「モデルA1530」はソフトバンクモバイルのプラチナバンドを含むLTE(バンド1およびバンド8)や、イー・モバイルのLTE(バンド3)に対応。つまり仮にウィルコムのPHSの帯域でTD-LTEを開始した場合、ソフトバンクのLTEとイー・モバイルのLTEと合わせた「トリプルLTE」を展開できるわけです。


◆しかし問題は山積み
なかなか興味深い1.9GHz帯でのTD-LTE展開ですが、以前もお伝えしたように、実現にはハードルがあります。まず、最も大きな要素が1.9GHz帯がもともとPHS用に割り当てられた周波数であるという部分。つまり現時点で同帯域を使ってPHS以外のサービスを展開するのはそもそも難しい、というわけです。

さらに同帯域の中には第二世代コードレス電話とPHSが共用している帯域(1893.65~1906.25MHz)もあるため、実際にどれだけの幅をTD-LTE用に割けるのか……という問題もあり、仮にすべてのシステムを停止して、丸ごとTD-LTEへの転用が認められたとしても、既存システムの終了促進措置のための費用も発生します。

◆ただし実現すれば非常に面白いことに
このように問題は山積みであるものの、実現すれば面白いことになります。まず、仮に30MHz幅丸ごとを手に入れられた場合、ソフトバンクは複数の周波数帯を束ねて高速化する技術「キャリアアグリゲーション」を用いてワイヤレスシティプランニングの2.5GHz帯30MHz幅(うち10MHz幅は2015年から利用可能)を束ね、超高速なTD-LTEサービスの展開が可能に。

そしてウィルコムのマイクロセルネットワークをそのまま活用してエリアを拡充すれば、基地局1台あたりのユーザーが非常に少なく、超高速で常に快適な通信が利用できるようになるわけです。

ちなみにこの議論を行う際、「現行のウィルコムユーザーはどうするんだ」という声が上がると思われますが、以前ウィルコムのスタッフはBUZZAP編集部員に対して、データ通信から音声通話サービスに特化したことで帯域に余裕が生まれ、データ通信時に規格上の上限値に近い通信速度が出やすくなったとしていました。

つまり音声通話に特化したことで、ウィルコムが抱える500万を超えるユーザーの大半は帯域にほとんど負荷を与えない層になったというわけで、それならば「1.9GHz帯のごく一部をPHSユーザーに割り当てて残りを転用」「親会社のソフトバンクでユーザーを引き取る」などといった方法での解決も図れるわけです。

もろもろにかかるコストが決して低くないため、PHSの周波数帯を転用するという議論が持ち上がるのはまだまだ年単位で先の話とみられますが、PHSは1995年の商用サービス開始から実に18年が経過した規格で、さらなる高度化も望めないのが現状。

商用サービス開始19年で終了した「PDC」のように寿命を迎えた際、1.9GHz帯はどう扱われるのかについての議論は必ず生まれるわけですが、「なんでもあり」を自称するソフトバンクであるだけに、今はまだ現実的では無かったとしても、いつかまさかのウルトラCをきめることがあるかもしれません。

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