ウィルコムがLTEなどの高速通信サービスを展開するかもしれません

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アステルの事業を引き継いだ各社やNTTドコモの撤退を受け、日本で唯一PHSを展開する事業者となっているウィルコム。

現在はデータ通信サービスを捨て、音声通話に特化したサービス展開を進めていますが、いずれLTEなどの高速通信を展開する可能性があるのではないか……という話をお届けします。詳細は以下から。



◆ウィルコムのPHSサービスは1.9GHz帯を使用
Wikipediaに掲載された周波数の割り当て状況によると、ウィルコムは現在「1.9GHz帯(1884.65~1919.75MHz)」でPHSサービスを展開しており、2013年4月時点で512万4400契約(3Gは除く)が同帯域を利用しています。


◆1.9GHz帯でLTEを展開しているSprint
ここで気になるのが1.9GHz帯は日本以外でどういう位置付けの帯域なのかという部分。実は同帯域はウィルコムの親会社、ソフトバンクが買収を進めているアメリカの携帯電話会社「Sprint」がLTE(FDD-LTE)を展開している「バンド25」と呼ばれる帯域(1850~1915MHz、1930~1995MHz)の一部です。

つまりソフトバンクがSprintの買収に成功した後、ウィルコムの1.9GHz帯でLTEを開始すれば、Sprint向けのLTE端末を国内でも展開しやすくなるわけです。


携帯電話各社がスマートフォンの普及に伴う通信量増大を受け、周波数の逼迫に苦しんでいる一方で、周波数の割り当ては総務省が行うものであるため、簡単に新規割り当てを獲得するのも難しい現状を考えると、Sprintとのシナジー効果も期待できる1.9GHz帯はソフトバンクにとって将来的にうまみをもたらす可能性がある帯域となりつつあるのではないでしょうか。

◆もちろん現状では問題が山積み
このようになかなか興味深い1.9GHz帯の転用ですが、当然実現にはハードルがあります。まず、最も大きな要素が1.9GHz帯がもともとPHS向けに割り当てられた周波数であるという部分。つまり現時点で同帯域を使ってPHS以外のサービスを展開するのはそもそも難しい、というわけです。

また、同帯域は第二世代コードレス電話が用いている帯域でもあるため、仮に周波数帯の転用が実現したとしても、NTTドコモとKDDI、イー・モバイルに新規で割り当てられる700MHz帯のように、同帯域を利用する既存システムの終了促進措置を講じるための費用が発生します。

◆しかし決して不可能というわけでもない
上記の理由から1.9GHz帯を別の通信規格に転用するのは難しいと考えられるわけですが、では完全に不可能なのかというと、案外そうでもなさそうです。

PHSは1995年の商用サービス開始から実に18年が経過した規格であり、今後さらなる高度化も望めないのが現状。1993年に商用サービスを開始した第2世代携帯電話(PDC)が2012年に終了したことを考えると、いずれはPHSにも「寿命」が訪れます。その場合、PHS用に割り当てられていた1.9GHz帯の別のシステムへの転用が論議される可能性はゼロではありません。

また、仮に転用が実現したとして、現行のPHSユーザーをどうするのかという問題がありますが、ウィルコムのスタッフは先日、下り最大400Kbpsのデータ通信にも対応した「ストラップフォン2」をBUZZAP編集部員に説明する際、同社がデータ通信から音声通話サービスに特化したことで帯域に余裕が生まれ、規格上の上限値に近い通信速度が出やすくなったとしていました。


つまり音声通話に特化したことで、ウィルコムが抱える500万を超えるユーザーの大半は帯域にほとんど負荷を与えない層になったというわけですが、それならば「1.9GHz帯のごく一部をPHSユーザーに割り当てて残りをLTEなどに転用」「親会社のソフトバンクでユーザーを引き取る」などといった方法での解決も図れるわけです。

いずれにせよまだ年単位で先の話になると思われる1.9GHz帯の取り扱いに関する動き。しかし今後の周波数の逼迫状況や今年11月から行われる「070」の携帯電話への開放、その後導入される携帯電話とPHS間のMNPが与える影響によっては、いささかの現実味を帯びてくることになるかもしれません。


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