見えてきたドコモ版iPhoneの実現、「ドコモのツートップ」戦略が意味するもの

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大手新聞社や海外メディア、調査会社のアナリストなどが事あるごとに報じ、日本上陸前には識者がこぞって「最も可能性が高い」と予測していたにもかかわらず、いまだ実現へと至らない「NTTドコモ版iPhone」。

このフレーズを見ると「またか……」と思ってしまう人は決して少なくないと思われますが、つい最近、実現に向けて大きく前進したと受け取らざるを得ない、大きな方向転換がありました。



◆「Galaxy S4」と「Xperia A」が「ドコモのツートップ」となった夏モデル
去る5月15日に行われたNTTドコモの2013年夏モデル発表会。ソフトバンクがフルセグ対応の「AQUOS Phone Xx 206SH」、KDDIが「HTC J One HTL22」などをフラッグシップ機に掲げる中、NTTドコモは「Galaxy S4」と「Xperia A」を「ドコモのツートップ」に据えることを発表しました。

ドコモのツートップとなった2機種。他の機種にはない特別価格に加え、iモードケータイユーザーや10年以上同社を利用し続けてきたユーザーにはさらなる割引が提供されるなど、手厚い施策が施されています。


NTTドコモがこのような大胆な施策を打ち出したのは、iPhoneを扱うKDDIやソフトバンクモバイルへのユーザー流出が止まらないことを受けたものであることはほぼ間違いありませんが、ここで注目するべきなのが、ツートップを獲得したメーカーがSamsungとソニーという点。

「Galaxy」「Xperia」シリーズはグローバル市場でも人気があるブランドで、性能面でも定評があるだけでなく、早い段階からNTTドコモのスマートフォン分野を牽引してきたという経緯もあるため、確かに「iPhone対抗」という意味では適任だと思われます。

◆iモード時代と大きく変わったメーカーとの関係
しかしながらNTTドコモが我が世の春を謳歌していた感のあるフィーチャーフォン(iモード端末)時代を振り返ると、同社には携帯電話開発で協業するなど、優先的に端末を供給してくれたNECやパナソニックを優遇してきたという過去があります。


一方で当時端末を供給していなかったSamsungはもちろん、iモード端末を供給していたソニーもそのような優遇は受けておらず、いわば「外様」のような扱いを受けるにとどまっており、端末開発費の高騰や市場の飽和を受け、2008年発売の「SO706i」を最後にソニーがいったんNTTドコモへの端末供給を停止したのは印象深いエピソードです。


2001~2011年度までのシェア2012年度のメーカー別シェアなどと合わせて考えても、今と昔でメーカー各社の立ち位置は大きく変わったわけですが、このような事態となった背景に、「各メーカーがどれだけ早くスマートフォンへ本格シフトできたか」という要素が大きく影響していることは言うまでもありません。

◆しがらみを断ち切ることで見えてきた「NTTドコモ版iPhone」
もともと人気な上に、特別待遇でより一層の売り上げ増が期待できるSamsungやソニーと、ただでさえシェアが著しく低下している中で、さらに不利な戦いを強いられることとなったNECとパナソニック。

携帯電話会社がユーザーの目に見える形でメーカーごとにここまで明確な差を付けるのは、Appleから特別扱いを要求されるiPhoneを除けば珍しいケースであるため、その理由が気になるところですが、鍵となるのがNTTドコモが2012年11月と2013年1月に相次いで記録した「純減」。いまだに純増を続ける携帯各社の中で、NTTドコモは一人負けの状態に突入しています。

つまり、今まで苦境に立たされつつも強気の姿勢を崩さなかった同社が、ここにきて「ツートップ」戦略を採用したことは、NTTドコモがiモード時代から深く付き合ってきた2社を切り捨て、自らの生き残りを優先せざるを得ない状況にまで追い込まれたということの現れではないかと考えられるわけです。

また、このような特別扱いは前述の通り、まさにAppleが携帯電話各社に対して求めるもの。今回の戦略でメーカーとの古くからのしがらみを断ち切ると同時に、「特定メーカーを特別扱いした」という実績を作り、iPhone販売にこぎつける下地ができたと考えれば、「NTTドコモ版iPhone」がより現実味を帯びてくることになります。

今までも言い尽くされてきたように、あくまで交渉次第という部分が大きく、Appleの胸先三寸にかかっている「NTTドコモ版iPhone」。

しかし旧モデルのiPhone 4Sが好調で最新モデルのiPhone 5が伸び悩むなど、Apple自身もいつまでも強気で居続けられるというわけではないため、両社の条件が折り合う日はどんどん近づきつつあるのかもしれません。


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