Photo by waterdotorg
女性たちが頭の上に瓶や壷を載せて重い水を長い距離運ぶ姿、発展途上国の風景としてドキュメンタリーなどでもよく見かけます。非常に大変な労働ですが、この労力を一気に減らす発明が話題になっています。
水道が通っておらず、井戸もない場所に暮らす発展途上国の人々にとって水汲みは毎日欠かせない仕事。主に女性が従事することが多い、長時間拘束の重労働です。
アメリカ合衆国のソーシャル・ベンチャーWelloの創始者であり最高経営責任者のCynthia Koenigさんは、発展途上国の女性らが清潔な水をより簡単に運ぶために車輪型のボトル「WaterWheel」を開発。このアイディアは世界的な健康や人権に関するアイディアを支援するGrand Challenges Canadaにおいて10万ドルの賞を受けています。
WaterWheelは高品質なプラスチックを使用した50リットルのボトルで、横に倒し、取っ手を取り付けると車輪として押したり引いたりして水場から自宅まで運ぶことができます。
この50リットルという量はこれまで女性が一度に運べる水の量の3倍から5倍にあたり、これまで1日の25%の時間を水汲みに当てていた女性の時間的な負担を減らしながらより多くの料の水を運ぶことができます。また、キャップから直に注げるデザインのお陰で水の再汚染を防ぐことができ、下痢などの病気の発生を減らすことにも繋がります。
さらに、こうした水汲みが必要となるのは貧困層が多いため、途上国の工場と契約して1つ25ドルから30ドルで提供できるシステムを構築しているところです。
WaterWheelの説明動画はこちら。
HelloWelloShort on Vimeo
現在はインド北部の乾燥地帯で展開を予定しており、グジャラート州のアーメダバードで制作、ラジャスタン州、グジャラート州、マディヤ・プラデーシュ州で販売していくとのことです。
Koenigさんによると、このWaterWheelは女性をターゲットに作ったものの、驚いたことに男性に非常に人気だということ。
「一番嬉しかったのは男性がこれを使うのが好きだということ。男性がこれを使った水汲みを引き受けてくれるから女性が他のことに時間を使えるの。もしくは男性が週に4日、女性が2日使うという感じね。WaterWheelは女性の重荷を減らしてくれる。ある看護師は『夫がこれで水汲みをしてくれるから仕事に遅れなくてすむようになった』と言ってたわ」
と、男女の役割にも微妙な変化が現れている模様です。
インド以外にも広まる余地は大いにありそうなWaterWheel。女性の労働が減って教育を受けるチャンスが増えれば、社会はこうした場所から少しずつ変わっていきそうです。
WaterWheel to ease burden on women Mark Tran Global development theguardian.com
(Photo by waterdotorg)
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