どんな素晴らしい音楽にも心を動かされない「音楽不感症」が存在するとの研究報告

Photo by Louish Pixel

ジャンルは違えどそれぞれ好きな音楽、心を揺さぶられる音楽というものは存在するもの。ですが、世の中にはどんな音楽にも心を動かされることのない人が存在することが明らかになりました。

No Music No Liveが合言葉だった90年代、音楽は空気や水のように当たり前に存在し、また無くてはならないものでした。時代が変わり、音楽の重要性が相対的に減じても、みんなそれぞれ何かしらの好きな音楽は持っていると思われていました。

しかし、この世にはどんな音楽でも感情を揺さぶられることのない人々が存在していることがバルセロナ大学の科学者達によって明らかにされました。研究チームの科学者Josep Marco-Pallaresさんはこの人々を「音楽不感症」と名づけました。



「彼らの存在は音符の集合がどのように感情に変換されるかを理解する上で非常に重要です。彼らは脳の欲求が満たされた時に快の感覚を与える報酬系に別の道筋でアクセスしている可能性があります。人によってはより効果的に」




こうした音楽不感症の人々は快の感覚を別の方法、例えばお金を稼ぐことなどによって感じている可能性もあるとのこと。

研究チームが行った実験は被験者を音楽に強く心動かされるグループ、平均的なグループ、音楽への感受性の低いグループに分けて行われました。

実験はふたつのパートに別れており、最初の実験では楽しい音楽を聞いた時にどのていど自分が快の感覚を得たかをレート付します。そして次の実験では対象物に素早く反応して勝ち、負ければ実際のお金を失うというゲームをすること。

どちらの実験も褒章系に関係する神経細胞組織と関わりを持ち、脳内快楽物質のドーパミンを生成します。研究者はその際に肌の汗の状態と心拍を計測し、感情の生理的な指標として測定します。

結果は非常に明確で、他の部分では健康的で幸せな人が音痴などの理由もなく音楽には全くの不感症であることが分かりました。そうした人々は金銭的報酬には反応しており、音楽不感症が報酬系全体のあり方とは関連しないことが分かりました。

こうした研究は依存症や情動障害を含む報酬系に関する病理学の新たな理解に繋がるということ。

音楽の良さについてどうしても分かってもらえない時、人によっては音楽では心地よい感覚を得られない音楽不感症である可能性も考えられるということ。音楽好きからは驚きの事実ですが、音楽をギャンブルやショッピング、読書やスポーツなどの趣味に置き換えてみると思い当たる節もあるのではないでしょうか。

Minority can listen to music without experiencing any emotion Mail Online

(Photo by Louish Pixel

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